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ユガココ前提のひとりあそびネタ2。 最近、自分の身体にヘンなコトが起こる。 それなりの深夜。そろそろ眠ろうかという時間帯に異変を感じる。 今日はシャワーを浴びてパジャマに着替え、ベッドの上で読書をしている時にそれが起こった。 股間を、誰かに触られている感じがする。 もちろん、そんなことがあるはずはない。この部屋はワンルームで、心音が一人で暮らしている。 未だ付き合っている彼氏も入ったことのない、男っ気のない部屋だ。 自分しかいないし、まして自分で陰部を弄っているわけでもない。 それなのに、なにかが自分の性器に触れている感触がするのだ。 「なんでなんだろ……」 数日前からはじまった奇怪な現象は、けれどコトがコトだけに誰にも相談できずにいた。 付き合っているはずの、夕神にさえも。 彼は真面目で、真面目過ぎて、まだキスしかしていないような間柄なのだ。 決して自分に劣情を感じていないわけでないことは、ココロの『音』を聴けばわかる。 それなのに自分を律しているのは、母への遠慮に他ならない。 ならば、彼の顔を立てるのが良き妻の姿ではないか。心音はそう思っている。妻。妻。 そういう間柄だからこそ、あけすけにこういった妙な現象を相談できなかった。 誰かが、自分の性器に触れているかもしれない、なんて。 大体、触れているわけもないのだ。ということは、やはり自分の感覚が狂っているのだろう。 「夕神さんとエッチしたくて、頭ヘンになっちゃったのかな……」 それが一番、妥当なような気がした。 そう、彼だって我慢しているかもしれないが、自分だって我慢している。 彼はヘンに頭の硬いひとだから意識していないかもしれないが、女の子にだって性欲はあるのだ。 好きな男性に触れてもらいたい。 今日の謎の接触は、やや性急だった。少しクリトリスを弄ったと思ったら、もう太い棒、指のようなものが膣内に侵入してくる。 内側をくすぐってくる感触がして、背筋にぞぞぞと刺激が走った。 「やぁん!」 思わず声が出て、拒否するために股間を抑える。もちろん、そこにはなにもないので侵入してくる刺激が止むわけもない。 勝手に犯される感覚に翻弄されて、恐怖に身体が強張る。 本当は、もっとパニックになってもいいはずだった。初日は意味もわからずいやらしい接触に襲われて、泣きながら喘いでいた。 怖くて怖くてたまらなかった。怯えながら最後まで達してしまったこともショックだった。 けれどほとんど決まった時間、毎日起こるとなれば、わずかだが慣れも出てくる。 加えて、刺激はいつも優しかった。丁寧と言って良く、なんだかこちらを気持ちよくさせようという意図まで感じた。 穏やかな刺激で毎夜確実に自分の好みを探ってくる感覚。警戒が薄くなっていくのも自然なことだろう。 心音の身体も理性も、この謎の快楽を受け入れつつあった。 侵入していくる物体はいつの間にか太さを変えて、指のようなものが2本、内側をバラバラに動いて肉壁を優しくこすってくる。 その愛撫に腰からぞわぞわとした感覚が這い上がって、胸の中に熱が溜まっていった。 息が苦しい。早くなんとかしてほしくて、きゅっと膣を締め付ける。 すると、指のようななにかが激しく抜き差しをはじめて、パジャマの中でぐちゃ、ぬちゃと粘液が跳ねる激しい音がした。 「あ! あ! あぁん!」 強い快楽に手近にあった枕を抱きしめてベッドに倒れこむ。 必死で股間を閉じて耐えようとするのに、実態のない挿入はますます深くなるのが奇妙だった。 しばらくそうやって刺激に耐えていると、ふいに指のようなものが抜かれた。 抜かれた後、自分の膣口からごぽりと愛液が零れる感覚がして恥ずかしい。 それは妄想でも幻覚でもなく、間違いなく自分が垂れ流したものなのだ。 指の圧迫が終わったと同時に、生暖かい物体が突き入れられた。 「! や、なにこれぇ……!」 ぐねぐねとした温い軟体は膣内に侵入したと同時に、内側を舐めるように這っていく。 その未知の感覚にまた身体が強張った。と、同時にクリトリスも摘まれる。 「あ、あーーーーー!」 軟体を膣内に挿入され、陰核を捻り上げられて心音は簡単に達した。 性急な刺激だったにもかかわらず、いつもよりずっと早く達してしまったことが恥ずかしくて、心音は枕に顔を埋める。 「うー……疲れたよぉ……」 けれど、刺激はまだまだ続いていた。 達してひくつく膣内を味わおうと、ねっとりと軟体が這いまわる。 勃起した亀頭も押しつぶされ、擦られ、気まぐれに捻り上げられる。 その都度腰がビクついて、求める相手もいないのに腰が浮き上がってしまう。 結果、まるで後ろから犯されているかのような態勢でひとり腰を振ることになった。 「ん、あ、あ、あ! も、らめ……やだぁ……! もうイッちゃった……イッちゃったからぁ!」 悲鳴の混じった嬌声を上げながら、言葉とは裏腹に必死で腰をくねらせる。 心音が動いたところで刺激に影響はないのだが、もはや本能だった。 もっと卑猥で強烈な刺激が欲しいと、身体が叫んでいた。 心音の身体にまるで呼応したかのように軟体が引きぬかれ、太くて硬いなにかが入り口にあてがわれた感触がする。 コレがなんなのか、心音は心当たりがあった。けれど深くは考えない。 どうしたって非現実的な状況だし、もしこれが現実なら、それは夕神に対する酷い裏切りだ。これは自分の妄想であってほしい。妄想なのだ。 妄想なのだったら。きっとコレは、彼のモノ。 なら、欲しがってもいいはず。 「は……はやくください……ゆうがみさん……」 そのおねだりが聞こえたはずもないのに、熱い塊は心音の膣をずぼりと穿った。 待ち望んだ衝撃に、心音の性感はまた頂点まで上り詰める。 「あああああん! あ! はぁん、キモチイ……ゆうがみさ、わたしまたイッちゃいましたよぉ!」 熱く硬く滾ったモノが胎内で抽送を繰り返す感覚に、心音はだらしなく口を半開きにしてうっとりと酔いしれた。 影響があるかもわからないのに、パジャマに包まれた足を大きく広げ尻を高く付き出し、へこへことまぬけに揺らす。 「あぁん、あッ、奥、あたって……キモチイイ……ッ、ゆうがみさんのおっきいおちんちん、キモチイイッ……!」 幾度も達した熱がまた盛り上がって、心音の身体と理性を犯す。 服を身につけたままなのに、膣内がぐちゃぐちゃに掻き回されて、粘液が擦り合う音が高く響く。 ひとりで身体が熱くなって、それが少しさみしかった。 自分を犯す熱棒は、激しいのに優しく気遣う動きで確実に心音の弱点を突き上げてくる。 その動きが、やはり夕神を連想させた。 「ゆうがみさぁん……ちゃんと、さわってほしいですよぉ……」 泣きながらそう言って、心音は謎の質量に三度目のオーガズムへ連れて行かれた。 心音は、ふわ、とあくびをした。その後すぐに首を振って頬を自分ではたく。 これから、夕神の部屋へ遊びに行くのだ。 せっかく大好きなひとと休日を一緒に過ごせるのだから、眠気などに邪魔されてなるものか! けれど連日のいやらしい幻想行為で、最近は寝不足気味だった。昨日ははじめて、あの大きな性棒に二回も突かれて6度果てた。 正直、もうくたくただ。週末で命拾いした。 自分の妄想なら、ほどほどでいいんじゃないかな。 それともあれは、自分の欲求不満が生み出した妄想ではないのだろうか。 誰かが、なにか不思議な道具を使って、自分へなにかを仕掛けているとか? 心音は頭を左右に振った。それは結構、恐ろしい考えだ。 けれど幽霊くらい実態がなくて、仮にも心理学を学ぶ弁護士としては納得できない思考でもある。 夕神さん以外とエッチなコトしたって、思いたくないな。 それくらいなら、まだ自分の妄想という結論の方がマシなのだ。 エッチなわたしでもいいですか? なんて夕神に尋ねる方が、はるかに。 エッチだよね。わたし。昨日は疲れたけど、すごく、気持ちよかった……。 昨晩はクリトリスからひだの隙間まで生暖かい軟体が丁寧に這い回り、きつい刺激もなく絶頂を迎えた。 それがあまりに物足りなくて、思わず自ら寝間着を乱して乳房を引っ張り出し、先っぽをキツく弄ってしまった。 その、まさしく自慰の最中に、子宮口の奥をたっぷりと突かれた。胸と秘部を同時に責められる感覚は、頭が真っ白になるほどのエクスタシーだった。 それで、悲鳴をあげながら何度もイってしまったのだ。 思い出して、心音は赤面する。日中、人通りの多い街中を歩きながら考えることでもない。 心音はもう一度頭を振って、夕神の部屋へ急ぐべく足を強く前へ出した。 と、その瞬間。 「ひゃい?!」 股間に刺激が、走った。 ど、どうして……今までずっと夜にしかなかったのに?! けれど確実に触れる感触がやってきていて、小陰唇と陰核を温かな、手のひらのようなもので撫でられている。 そこまで強い接触ではないけれど、激しい昨日の快楽がまだ身体に残っていた。 わずかな触れ合いにも過敏に反応してしまって、思わず足を止める。 ──ど、どうしよう。 夕神との約束の時間には、まだ少し余裕がある。ゆっくり歩いても遅れはしないだろう。 けれど、どこかで立ち止まって、この感覚をやり過ごすほどの時間はない。 また、じっとしていれば通り過ぎる確証もなかった。 心音は、ゆっくりと歩き出した。 大丈夫。人通りの多い、駅から住宅街へ向かう商店街の中だ。 多少ふらついていても、誰も気が付かないはず。 そう考える傍から、指のような質量が一本、胎内に侵入してきた。 「ん!」 昨日の影響か、先ほどの回想のせいか。わずかだが濡れていたらしい。 その隙を突いてぬるりと指のようななにかが入ってきて、胎内をぬちぬちと掻き回す。 まるでなにかを掻き出すみたいにこね回されて、それはいつものような優しさに満ちた愛撫ではなかった。 「ッ……な、なんで、こんなトコで……あぅ!」 思わず両腕を抱いて、よたよたと足を進める。 股間からは条件反射のように愛液がこぼれて、すっかり下着を濡らしていた。 このまま指が奥へ侵入して引っかき回せば、おそらく黒いストッキングにも染み出して溢れてしまうに違いない。 夕神の、好きな男性のところへ行くのに、みっともない姿で行くわけにはいかない。 心音は膝頭をこすり合わせて、なんとか快感をやり過ごそうとする。 それなのに指は遠慮なく心音の胎内を動きまわって、まるで掃除をするみたいにくまなく肉の壁を撫でていく。 傷つける意図はなさそうで、相変わらず慎重な手つきなのに、常と違って雑な触れ合いだった。 本当に掃除でもするつもりなんだろうか。 指は心音の意図などお構いなしに、どんどん奥へと侵入してくる。 奥へ進行する度に発生する快感に、心音は荒い息を吐き出した。 ここがせめて街中でなければ、声くらい出してまだ気を紛らわせることができたのに。 「は……はッ……ん……!」 ゆっくりと、心音は前に進む。気丈にも唇を引き結んで、潤む瞳で前を見た。 頬を染めて息を荒くしてふらついている姿に、男たちの目が釘付けになっているとも知らず。 膣内を蠢く指は、それほど長く同じ場所には留まっていなかった。常に胎内を移動していく。 あまりしつこくない動きに、段々と慣れてきて歩みもやや速度が上がった。 そう油断した瞬間、指がぐりりと最深部に押し込まれてしまう。 「ひゃん!」 小さな嬌声に、幾人かがこちらを見た気がする。心音は顔を真っ赤にして両手で口を閉じた。 指は奥の上面に狙いを定め、そこにある突起をぐりぐりと潰すように弄ってくる。 そこは心音の最も弱い箇所のひとつで、この謎の感覚も触れるのを好む場所だ。 当然のように、身体がそこからの悦楽を貪欲に得ようとする。 意識が飛びそうになるほどの性の悦びが心音の全身を揺らした。 「……! …………!!」 思わず一度立ち止まり、道の端まで移動してついにしゃがみ込んでしまう。 しゃがんですぐに、股間からぶしゃり、ぶしゃりとラブジュースが吹き出し、商店街のコンクリートづくりの道を汚した。 「~~~~~~!!!」 心音は泣きながら絶頂の声を堪えた。こんな衆人のいる場所で何度も達してしまうことも心底恥ずかしかった。 だが幸いにも、心音の身体が大好きな──大好きな、大きな質量と熱を備えた物体は侵入してくる気配はない。 それに、僅かに安堵していた。 アレが入ってきたら、もう心音の理性などどこかへ行ってしまうのだ。 衆人監視のもとあられもない声を上げ、身体をくねらせて腰を虚しく振ってしまうに違いない。 それだけは、嫌だ。そんな姿を見てもいいのは、夕神だけだ。 心音は力を振り絞って立ち上がった。 まだ絶頂の余韻と胎内で暴れる細い質量に、がくがくと膝が笑っている。 内股に、愛液が滴る感触がした。いずれスカートの裾から滴るのが見えてしまうだろう。 ──やだぁ……夕神さん、たすけて……。 一瞬そう考えて、心音は首を激しく左右に振った。 ううん! 夕神さんに助けてもらうのは、もうおしまいにしたんだから! すでに7年も助けられていた。困ったときに助けられるのは、もう嫌だった。 心音は気を取り直して、夕神のもとへと急いだ。 「ひ……! あぅ……あッそこだめ……またイっちゃうぅ……!」 夕神は例のものをキレイに洗浄した後、丁寧に水滴を拭き取り、 心音には絶対に見つからない場所へとそれを閉まった。 これから心音が部屋へ来るのだ。 もちろん、いかがわしいことをする気はない。しない。 しない代わりに、昨日は随分ひとりで頑張ってしまった。せめてそれくらいは勘弁してほしい。 玄関でブーとブザーが鳴った。どうやら心音がやって来たようだ。 夕神は浮足立った感情を深呼吸で鎮めて、ドアを開けてやる。 扉の向こうには、心音がいた。頬を赤くして、青い瞳を潤ませている。 「ゆうがみさぁん」 いつもの心音、ではなかった。どこか甘える、淫靡な声。 そのまま細い身体が抱きついてきて、夕神は動揺した。 「ゆうがみしゃん、わたし、がんばりましたよ……。がんばって、ここまできましたから……」 声はすっかりとろけていて、夕神は目を丸くした。 これでは、まるで……。 「ねえ、ゆうがみしゃん。……ごほうび、ください……?」 まるで── 自分の卑猥な妄想の中の、おねだりする心音のようではないか! 「ゆうがみしゃん……おねがい……」 夕神は動揺したまま、本能的に心音を抱きしめた。 <終>
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初フェラ(ナルマヨ+α小ネタ) 「――!んんっ?!ゲホッ、ゲホゲホ」 「!?だ、大丈夫?真宵ちゃん?…はい、ティッシュ」 「ん…ケホッ……あー、苦しかった。…もう!ナルホドくん、出すなら「出す」ってちゃんと言ってよね!」 「ゴメン…僕も口でしてもらうの初めてだったから、勝手が分らなくてさ」 「うん、これからはちゃんと気をつけてね。 うーっ、…それにしても、男の人の“せーえき”って全っ然美味しくないね。ニガいし、生臭いしさ、よくみんなこんなのが飲めるなぁ…」 「(そうハッキリ言われるとなんだかキズつくな…)うーん、まあ、元々飲む為のモノじゃないしね」 「他の男の人のとかもこんな味なのかな?」 「人によって多少の違いはあると思うけど、大体こんなものじゃないかな?」 「御剣検事とかも?…今度冥さんに会ったら聞いてみようかな」 「いっ…?!た、頼むからそれだけはやめてくれ、真宵ちゃん!鞭でぶたれちゃうから………僕が」 「それもそうだね。じゃあお姉ちゃんにしよっか、ちょっと待ってて、今呼ぶから」 「え……?僕が聞くの?っていうか僕ら今ハダカだしっ!第一まだ途中…って真宵ちゃあああん!!」 落ちないけど終わり
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作者様より転載許可をいただきましたので、アップローダーに上がったテキストを転載します。 84 亡霊×心音で撮影プレイ。鬼畜陵辱ものですご注意を 2014/10/29(水) 23 49 49.62 ID V+amDZSO 亡霊が心音ちゃんを拉致監禁して……な非ジャスティスな状況下で撮影プレイな亡霊×心音。 鬼畜陵辱ものなのでご注意を。 エロは亡ココのみですがユガココ要素あります。 あと未来捏造設定も出てきます。 上記のように人を選ぶ内容なので、アップローダーを使って投下します。 http //filescase.com/src/GEN50MB1145.txt.html ダウンロードパスは、 gyktn です。 保管庫管理人様へ。 お手数おかけして申し訳ありませんが、本文の方の保管もよろしくお願いいたします。 ================================= <<WARMING!>> 亡霊が心音ちゃんを拉致監禁して……な非ジャスティスな状況下で撮影プレイな亡霊×心音。 鬼畜陵辱ものなのでご注意を。 エロは亡ココのみですがユガココ要素あります。 あと未来捏造設定も出てきます。 ================================= どうやら無意識のうちにため息が零れていたらしい。 「大丈夫? ココちゃん」 隣を歩くしのぶから不安げに話しかけられ、心音ははっと我に返った。 「あ、うん、ごめんね。ちょっとぼーっとしちゃってた」 心音は顔に笑みを浮かべて返すが、親友の顔は暗いまま。 「やっぱり、すごく難航しているの? 亡霊の弁護の件」 「……うん。正直にいうと、そう」 躊躇いがちに切り出された質問に、心音は肩を落として認めた。 「雑談とかにはある程度応じてくれるようになったけれど、今までの活動や事件についてになるとピ タっと沈黙しちゃって……」 どんなに朗らかな雰囲気で喋っていても、少しでも確信に触れようとした途端、すぱっと静止して しまう。……尤も、それはユガミの尋問に対しても同じようだが。 「たとえ正直に語ったとしても、極刑はまず免れない。司法取引による無期懲役が関の山」 でも。それでも。 「今まで行ってきた事にちゃんと向き合って欲しい。でなきゃ……」 心音が言葉を続けようとした矢先、前方から男性が息せき切って駆けてきた。 「ナルホドさん?」 心音としのぶが目を丸くして足を止めた前へ、男性――ナルホドがぜいぜい息をつきながら叫ぶ。 「大変だ、ココネちゃん。亡霊が脱獄した!」 放たれた言葉は、心音としのぶの顔をさっと強ばらせた。 「ココネちゃん、一緒に来てくれないか?」 「あっ、はい勿論です!」 言うや踵を返すナルホドに、心音が電流に打たれたかのように身動ぎ、慌てて頷く。 「ごめんしのぶ! この埋め合わせはまた今度に……」 「うん……! ココちゃんも気をつけて……!」 ナルホドと一緒に走り去っていく心音へしのぶが手を振って見送る。その最中、動揺でしのぶの顔 が俯いた途端、帽子に付けていたひまわりの花がボトリ落ちた。 ひまわりの鮮やかな黄色と茶色がしのぶの視界を遮る。 驚き、思わず小さく悲鳴をあげて竦み上がっていたら、後ろから大丈夫? と声をかけられた。 「あ、帽子飾りのひまわりがいきなり落ちちゃって……」 気恥ずかしそうに笑いながら振り返ったしのぶの顔が、大きく強張る。 「――どうしたんだい?」 見る間に顔が青ざめていくしのぶに、声をかけてきた人間――成歩堂が、きょとんと首を傾げた。 「えっ……い、今……ココちゃんと一緒に向こうへ行ったんじゃないんですか……亡霊が脱獄したか らって……」 「だ、脱獄!? 一体どういう事なんだい!?」 両手を胸の前で握り締めて震えるしのぶに、成歩堂が目を剥いて仰け反る。 (ま、まさか……さっきココちゃんを連れて行ったナルホドさんって……) しのぶの顔が更に強ばり、全身がカタカタ震え始める。足がふらつき、道路に落ちたひまわりの花 をぐしゃり踏み潰してしまう。 鮮やかな黄色い花びらが一枚、千切れ飛んで、雑踏の中へ呑み込まれていった。 ※※※ (……あれ?) ふわっと浮き上がるような感覚と共に、心音の瞼がうっすら開く。 (わたし、ナルホドさんに亡霊が脱獄したって聞かされて……) 誘導されるまま一緒に走って、それから……。 「――!」 心音がはっと息を呑んで目を開く。と、知らない部屋の中、安っぽいパイプベッドの上へ裸で寝転 がされていた。 さっきまで着ていた衣服も、胸元のモニタも、ない。右耳のイヤリングや頭のリボンはそのままの ようだがはっきり視認できない――両手に手錠をかけられベッドのヘッドフレームへ繋がれている為 に。 (…………ま、まさか……) 自分の置かれた状況に頬が赤らむ一方、頭の中は冷たくなっていく。キュっと引き絞られた心臓が 苦しげに鼓動を打ち鳴らしていた所へ、部屋のドアが開いた。 「どうやらお目覚めのようだね」 ビクンと身を竦ませた心音へ、ドアを開けた人間――亡霊が入ってくる。拘置所で面会していた頃 の囚人服ではなく、番刑事に成り済ましていた頃の白スーツに赤いシャツを纏っていた。 「そんな……それじゃああのナルホドさんは……」 「久しぶりに化けてみたんだ。上手くいって良かったよ」 少しでも身体を隠そうと身を捩る心音へ、亡霊は、額部分が裂けたバンのマスクで、にこりと微笑 んできた。 「――どうして!? どうして脱獄なんか!」 心音が悲鳴のような声で叫ぶ。勢いで両手が動き、手錠の鎖がジャラジャラ揺れる。 「このままあの中にいてもジブンに未来はない。法の下に死刑か、組織が内部へ殺し屋を送り込んで きて殺される、か」 冷たい目で心音を見下ろしながら、亡霊が、親指で己の首をかっきるジェスチャーをした。 「異議あり! まだ決まった訳じゃない!」 「いいや。ジブンがこうして脱獄できた事がその証拠。内から外へ出られるならば、外から内へ潜り 込む事だって可能だろう」 吐き捨てるように返すと、亡霊はパイプベッドの下からスーツケースを引っ張り出した。 蓋を開け、中からビデオカメラと三脚を取り出すと、パイプベッドの横、心音の顔の辺りに設置す る。 レンズに歪んで映る、不安で震える心音のバストアップ。 「……ウム。これでいいだろう」 三脚の位置を何度か調整した後、亡霊はビデオカメラの録画スイッチを入れた。 「……何を……するつもりなの……?」 「安心したまえ。殺したり、不用意に傷つけたりするつもりはない。これから五日間、ジブンが”亡 霊でなくなる為の”用件に付き合って欲しいだけだ。終わればちゃんと解放する。あの法廷で、ジブ ンを狙撃してきた組織の情報のお土産付きで」 掠れる声の心音を見つめて、亡霊が穏やかな声で告げる。 (”亡霊でなくなる為の”用件……?) 言葉の意味を計りかねて、心音がオウム返しに問い返そうとするが。 「――ただし。もし途中でキミが自殺を計ったりジブンへ攻撃した時は、キミの親しい人達を殺す」 亡霊が先に剣呑な雰囲気を声と瞳に宿して宣言してきた。 心音が跳ねるように震え、パイプベッドと手錠から軋むような音がたつ。 「解ったなら足を開いて待っていたまえ」 そう言って、亡霊はスーツケースの方へ向き合う。中に入っていたクスコを持ちローションをたっ ぷりまぶすと、心音の様子をちらと窺う。 パイプベッドの上に裸で寝転がされた心音は、唇をぎゅっと噛んだまま、足をぴったり閉じている。 「……イヤか。ならばキミと一緒にいたあの娘の生首でも持ち帰ってこようか」 「! 止めて!!」 亡霊がすっと立ち上がった途端、心音が悲鳴をあげて呼び止めてきた。 「あ、足……開きます……言う事ききますから……だから……」 涙目で震えながら、心音がゆっくりと開脚していく。すらり引き締まった両足の奥、うっすら生え た茂みに覆われるオンナの部分をさらけ出す。 亡霊が見る前で、赤コスモスのような淫花と粒肉がピクピク震えた。 「――素直で嬉しいよ」 亡霊がニヤァと笑うと、スーツケースからビデオカメラをもう一台取り出す。 右手にはローションをたっぷりくつけたクスコ、左手には録画スイッチ入れたビデオカメラを構え ると、亡霊は心音の股の前へ陣取った。 「ヒヨコの嘴みたいにちっちゃくて、綺麗な形をしているなぁ」 カメラ撮影しながら亡霊が素直に述べれば、心音が顔を真っ赤に染めて悶えてくる。今すぐ閉じて 隠したい葛藤からか膝が揺れ、亡霊の身体をぽかぽか叩いてくる。 反動で淫花と粒肉もユラユラ揺れて、くらげがたゆたうような踊りを見せてきた。 「……さて、中の方はどうかな?」 淫花と粒肉の踊りをひとしきり堪能した後、亡霊は右手に持っていたクスコを宛がう。 赤コスモス色の秘所へ銀色のクスコがぴたり寄り添う。 「ひゃいっ……!」 冷たい感触に心音が呻き、彼女の中心もびくりと身を竦ませた所へ、亡霊がクスコを突っ込んだ。 ずぷっ、と、ローションから微かな音が立つ。 「やっ……あ、あっあ……やぁああ……!」 「息を吐いて身体から力を抜くんだ」 手錠をガチャガチャ揺らして悶える心音へ、亡霊は淡々と命じながらクスコを潜らせる。 ずぶずぶと、心音の胎内へ入り込んでいく銀のクスコ。粒肉が仰け反るように尖り、左右へ押し広 げられた淫花がローションにまみれながら痙攣する。それらを、左手のビデオカメラが間近で撮る。 「さぁ、息を吸って……吐いて……また吸って……そう吐いて……」 亡霊の声に合わせ、顔を真っ赤にした心音が唇をワナワナ震わせながら深呼吸を繰り返す。 クスコの取っ手にかかる抵抗が和らぎ、粒肉や淫花の動きから震えが少なくなってくる。 (――頃合いだな) 亡霊はニヤリ笑うと、根元まで突っ込んだクスコを開いた。 くぱぁ……と、心音のナカが開く。クスコに圧される格好で牝肉孔が露わになる。 彼女の胎内から熱気が漏れ出てきたかと思うと、最奥にある子宮口がキュっと身を竦めた。 「っ……あ、あぁっ……やぁっ……!!」 手錠をカチャカチャ鳴らして心音が仰け反る。あそこへ突き刺さる視線二つ――亡霊のとビデオカ メラ――に、顔と頭は否応なく沸騰し、全身はガクガク揺れる。 「……膜はなし、貫通済みか。お相手はユガミ君かな?」 ビデオカメラと一緒に心音のナカをしげしげと覗いていた亡霊がぽつり口ずさめば、心音が甲高い 声で悲鳴をあげた。 亡霊は、クスコをぐにぐに廻したり、前後させたり、開閉させたりしながら、心音の牝肉孔を隅々 まで観察して撮影していく。艶麗な光沢と弾力に満ち溢れた楽園は、常時こちらを誘うように蠢きた ゆたう。 クスコを通して、むあっとした熱気が亡霊の鼻先へ何度もかかる。すぐ側で構えているビデオカメ ラのレンズも微かに曇らせる。 「フム……ここでこうなっている、と……」 早鐘を打つ鼓動を抱えながら、亡霊はクスコで牝肉孔を丹念に押し広げて観察していく。 「……となると、Gスポットはこのあたり、か」 めぼしい場所へクスコの先端を宛がって押し広げれば、心音が甲高い声で囀って身悶える。 亡霊やビデオカメラが見ている前で、牝肉孔の奥の方でも小さな泉が湧き出てきた。 「やっ……やだぁ……もう止めて……お願い……」 思わずほくそ笑んだ亡霊へ、心音が涙をぼろぼろ零しながら懇願してくる。口から零れる吐息は熱 く、唇の端には涎が微かについている。 「……ああ、そうだな」 亡霊は身体を起こすと、クスコを根元まで心音へ突っ込んだ状態のまま右手を離す。 パチン、とクスコの取っ手が閉じ、心音の入口が少しだけ狭まる。 「そのまま押し出さないで待っているように。……まぁ、押し出してもそれはそれでいいか」 亡霊はニヤっと笑って告げると、左手に持っていたビデオカメラを壁へ――ベッド上を足元から俯 瞰できる位置へ――掛けた。 スーツケースからローションの瓶を取り出すと、心音の腰を持ち上げ、身体を深く折り曲げさせる。 「ひゃいっ……!」 クスコを突っ込んだ秘部の向こう側に出てきた心音の顔が、驚いて怯える様を堪能しつつ、亡霊は クスコを全開にし、そこへローションを注ぎ込んだ。 どぽどぽどぽっ、ローションが心音の牝肉孔へ流入していく。 「ひゃいいいいっ!!!」 大量に注ぎ込まれたローションの冷たさに心音が顔を歪ませて叫ぶ。全身がビクビク震え、爪先が 助けを求めるように宙を掻く。 一瓶まるごとローションを注ぎ込むと、亡霊はクスコを取り外し、彼女の腰をベッドへ下ろした。 ドプッ――と、ローションが吐き出される。粒肉と淫花は勿論、彼女のお尻や太腿の付け根までテ カテカにコーティングされる。 「や……あ、あぁ、あ……」 歯の根をガチガチ鳴らして震える心音。粒肉と淫花もピクピク痙攣するそこへ、亡霊は牡茎をズボ ンから取り出して宛がう。 ぬちゅりと当たる固い感触に心音が息を呑んだと同時に、亡霊が腰を叩き込んだ。 ローションの海を泳ぐ格好で、亡霊の牡茎が心音の牝肉孔を一気に昇る。 「ひゃいぃっ!」 心音が目を剥いて仰け反り、両の乳房がぶるんと上下運動する。その様子を、二台のビデオカメラ が別々の角度から写し撮る。 亡霊が恍惚とした様子で息を吐くと、両手で彼女の太腿を抱え上げ、まだ入り切れてなかった牡茎 の根元部分を捻り入れた。 ローションが二人の隙間から噴水のように流れ出る。 心音が甲高い悲鳴をあげて飛び跳ね、手錠からガチャリと済んだ音をたつ。 「あ……あ、ああっ……」 胎内へ侵入してきた亡霊の感触に心音が愕然とした後、絶望に顔を歪めて涙をボロボロ流し始めた。 「イヤぁっ、イヤぁぁああ……!!!」 嘆く心音の声が部屋の中に響く。 亡霊は唇を軽く舐めると、揺さぶるように腰を前後させてみる。怯えるようにギチギチ締まる心音 の牝肉孔の中を、牡茎が泳ぐように律動し始めた。 ずぷずぷぐぷぐぷと溺れる水音の下に、パイプベッドの軋む音が交わっていく。 「やっ、やだぁっ……お、お願い、やめて……っ……!」 亡霊が突き上げて貫いて肉壁や子宮口を抉っていく度、心音が嬌声を零して、いやいやと首を振る。 目から零れた涙の粒が、ベッドシーツへ模様を描く。 「どうやら、ユガミくんはさほど巧い訳ではないようだな」 「! い、異議……あ、り……ゆぅがみさんは、いつも、優しくしてくれ……ってま、す……!」 ずっちゅぬっちゅと腰を振るいながら亡霊が口ずさめば、心音が喘ぎながら反応してくる。 「――優しいだけでは快楽は得られないよ」 亡霊が冷たく笑い飛ばすと、狙った箇所を思い切り突いて擦ってぼこんぼこん凹ませる。たちまち、 心音が甲高い声をあげて悶え、淫花からぷしゃぁと愛液が迸った。 「ほら、こんな感覚、ユガミくんとは味わった事はなかったろう?」 亡霊が嗤いながら問えば、心音が真っ赤になった顔をきっと鋭くしてくる。 (この程度ならまだ抗えるか。では……) 亡霊は腰を少し離すと、先程探り当てた心音のGスポットを亀頭のカリで引っ掻き始めた。 小刻みに、丹念に、亡霊が腰を動かす。 外に出っぱなしになった牡茎の竿部分から透明な雫がぽたぽた垂れ、心音の太腿に落ちていく。 「ぇ……ぁ……ゃ、あ……あっ……ああ……!」 戸惑っていた心音の顔が徐々に切迫したものになっていく。体表に微弱な痙攣が走るようになった と同時に胎内の牝肉孔が鳴動するような痙攣を起こし始める。 「そんな……っ……嘘っ……やあぁ……」 心音が顔をしかめて、イヤイヤと首を振り出す。身体を捻って、Gスポットから亀頭をズラそうと 試みるが、亡霊が腰をがっちり掴んでいるので動けない。むしろ、二台のビデオカメラの前で悩まし げに上体を捻って乳房を揺らす格好になってしまう。 「やっ、やだ……何か、クるっ……お願い、やだっ、止めて……やめてぇ……!」 涙をボロボロ零して懇願してくる心音に、亡霊の胸がかあっと熱くなる。連動して牡茎にも更なる 熱が注入され、竿の表面を走る血管が浮き出る。 Gスポットを弄っていた亀頭にも熱と圧力はかかり、ぼこっ、と、押し上げるように膨張した。 「っ……!?!」 心音が身体を竦ませ目を開く。 ひっ――と、微かな悲鳴をあげて彼女が息を呑んだその刹那、亡霊は離れていた腰を一気に推し進 め、心音の太腿と尻へ全力でぶつかっていった。 外に置かれていた牡茎の竿が、喜び勇んで胎内へ飛び込む。 入口付近のGスポットを弄っていた亀頭が最奥の子宮口へ一気に移動し、そのまま何度も叩いて貫 く。 「ひゃいいいっ!!」 互いの肉体が叩き合わさる音と、パイプベッドが苦悶するように軋む音が響く中、心音が全身を戦 慄かせて嬌声あげた。 「……経験はあるのにGスポットすら未開発なんて、ユガミくんも随分もったいない事をしている」 恍惚とした表情で息を吐きながら亡霊が独り言つ。彼女の胎内は別個の生き物のように躍り、咥え 込んだ亡霊の牡茎を捻るように動いている。 (あんな綺麗だった場所が、ジブンのをこうもいやらしくしゃぶってくる) そう考えた途端、堪えがたい程の衝動が亡霊から湧き出てくる。絶望の表情を浮かべて涙を流す心 音の顔すら、愛おしい。そう――”愛おしい”。 「やはり、この用件にキミを選んだのは大正解だった……」 ――キミが相手ならば、ジブンの中の”亡霊”は完璧に消せるだろう。 「これからの五日間、よろしくお願いするよ」 精一杯の感情を込めて囁くと、亡霊は心音の反応を待たずに動き始めた。 亡霊の牡茎が心音の牝肉孔の隅から隅まで丹念に嬲って擦って抉って突いていく。 パンパンと肉体が叩き合って鳴る音に、ずっちゅずっちゅずっぷぐっぷずっずっ、と、水の泡たつ 音が被さる。 「ひぁっ、やぁあっ、あっ、あ、あ……あぁぁっ!!」 ビクンビクンと痙攣しながら、心音が跳ねる。両手を拘束する手錠をカチャカチャ鳴らして、乳房 を揺らす。淫花が何度もひしゃげては愛液を噴射し、二人の腰と腰をベトベトに濡らす。 亡霊の犯されるままに喘いで、何度も絶頂へ達する心音。そんな痴態を、二台のビデオカメラが別 方向から撮影していく。 (後で見返すのが楽しみだ……) 亡霊は、腰の腰から尻たぶへ手をずらすと、指をめりこませるように揉みしごく。ぷりぷりした弾 力と、滑らかな肌の質感に、絶頂の痙攣が時折混ざって指へ返ってきた。 亡霊は恍惚と吐息を零す。悦びで下腹部はグツグツ煮え立ち、欲情のままに牝肉孔と子宮口を抉り 貪っている牡茎は破裂しそうで苦しくなってくる。 (まずは一つ……) 唇から溢れ出そうになっていた涎を舌で舐めとると、亡霊はラストスパートをかけた。 「ひゃぁっ?! あっ、あ、ま、また何かっ、クる……!」 心音が目を大きく開くや、顔をしかめて首を振る。 「やっ、やだっ……ぅ……うあ、ぁぁ……ああぁ!」 全身を跳ねさせ、亡霊から必死に逃げようとするが、返って捻りという刺激を互いの肉体へもたら すだけ。自ら絶頂を呼び寄せるだけ。 心音が息を止めて硬直したと同時に、亡霊の牡茎が子宮口へ突き刺さった。 「あぁあぁあぅっ……!!!」 涙をボロボロ零しながら痙攣する心音の胎内で、亡霊の牡茎がドクドクドプドプ精液を解き放つ。 子宮口を大量の白濁液で汚して、征服した牝肉孔の締まり具合を堪能していく。 亡霊はほぅと息を吐くと、心音の尻たぶを掴んでいた両手を離して牡茎を引き抜いた。 ぐぽぉっ、と、音をたてて二人の肉体が離れる。 嘆く心音の腰がベッドへ落下するよりも早く、亡霊は彼女の腹の上へのっかり、鎮まりかけた牡茎 を乳房の谷間へ宛がった。 「ぁ……」 涙でぐちゃぐちゃになった顔で心音が息を呑む。 亡霊は両手で彼女の乳房を掴み寄せて牡茎を挟むと、そのまま腰を前後に振り始めた。 パイプベッドの軋む音が再び響き始める。 顔を引き攣らせて戸惑う心音の眼前で、亡霊の牡茎が表面についた愛液をローションにして滑る。 何度も乳房の谷間から突き出ては潜るを繰り返す。 動きに合わせ、むにゅぅと形を変えて牡茎へ密着する心音の乳房。牝肉孔とはまた違った弾力と柔 らかさは、放出したばかりの牡茎に熱と硬さを呼び戻す。時折腰を大きく前へ出して亀頭を心音の唇 へぶつけてみれば、ぷるんとした感触と共に彼女の涎がくっついてきて、それがまた気持ち良かった。 「素晴らしい、想像以上だよ……またすぐ出してしまいそうだ」 亡霊が恍惚と息を吐く。 心音がひっと息を呑んで顔をしかめるや、ぷいと横を向く。 「……」 亡霊はすっと目を細めると、両手を乳房から離して心音の頭を掴む。無理矢理正面を向かせると、 彼女の口へ牡茎を根元まで突っ込んだ。 「んぐっ――!?」 びくんと震える心音に構わず、亡霊は腰を振りだす。ぱんぱんと顔を叩くように腰をぶつけて、彼 女の口腔を犯していく。 締まりはないけどざらっとした舌の感触や、ねっとり熱い内部。喉奥を容赦なく突いて嘔吐かせれ ば、口全体が痙攣して心地よい刺激をもたらす。 「んんっ、んー、んんーっ!!」 心音が目を剥き、身体を激しく跳ねさせる。乳房がブルンブルン揺れて亡霊のお尻や太腿を幾度か なぞっていく。そんな様子を二台のビデオカメラが淡々と撮影していく。 亡霊は心ゆくまで彼女の口腔でしごくと、両手を離した。 心音の顔が下がり、亡霊の牡茎が表に出てくる。唾が蜘蛛の糸のように伸びたかと思えば、千切れ ぽたぽたっと微かな音をたてて落ちる。 「ぁ……ふぁ、あ……」 顔を真っ赤にして震える心音。瞳の焦点はぼやけ、解放された口は酸素を求めて幾度もひきつく。 「大人しくこっちを見ているんだ。いいね?」 口調は優しく、見つめる目は冷たく、亡霊が言い放てば、心音が項垂れるように首を動かしてきた。 「いいこだ」 亡霊はニヤリ嗤うと、完全に起きた牡茎を心音の乳房に挟み込んで再び腰を振るう。 ずっ、ずりゅっ、と、小さく音をたてながら乳房を泳ぐ牡茎。時折亀頭を心音の唇までぶつければ、 気怠げな顔のまま素直に受け止めてきた。 そんな様子がまた”愛おしい”くて、亡霊の胸は熱く高鳴ってくる。連動して牡茎にも熱が篭もり、 奥から射精衝動がかかってくる。 (とりあえず、ここで今日の分の撮影は終わらせよう) 亡霊はそう判断すると、乳房から牡茎を突き出した状態で止まった。 腰の奥で蠢いていた衝動を解放すれば、たちまち亀頭が噴火を起こす。 びゅくびゅく、びゅるびゅるっ……!! と、白濁液が宙を飛び、心音の口の周りへびちゃびちゃ ぶつかっていく。 「あ、あぁっ……!!」 口元へ次々と衝突してくる亡霊の欲情に、心音が悩ましげな声をあげて身体を震わせる。乳房も小 刻みに揺れ動き、うす桜色の乳首がぴんと尖って持ち上がる。 亡霊は腰に力を篭めて溜まっていた分を全てを吐き出すと、ふうと息をついて身体を弛緩させた。 パイプベッドの横に置いてあったビデオカメラと、壁にかけていたビデオカメラを、順ぐりに停止 させると、心音の両手から手錠を外してあげる。 「あっ……」 ガチャリと音をたてて外れた手錠に、心音が一瞬安堵した後、絶望に顔を歪めて泣き始めた。 「いやぁっ……いやぁぁぁあっ……」 ベッドシーツを強く掴んで心音が嘆く。 亡霊はやれやれと肩を竦めると、彼女の腰を掴んだ。 「ひぃっ――!?!」 心音が盛大に息を呑んで竦む。必死に逃げようとするが、無理矢理うつ伏せにさせられお尻を高く 掲げさせられる。 「や……止めて……! お願い……もう止めてください!!」 一縷の望みを託して、心音が亡霊の顔を見上げて請う。それがかえって煽るだけの結果だとも知ら ずに。 亡霊は唇を舐めて嗤うと、ひゅくつく彼女の秘部をおのが牡茎で貫いた。 ※※※ ============================================= ――こうして、初日は心ゆくまで犯し、何度もイかせて征服した。現状を肉体で理解させた。 だから次の二日目は、指と舌で彼女の身体をいじり倒してみた。 裸にした彼女を後ろから押さえ込みカメラの前から動けないようにしてから弄る。指を胎内へ侵食 させたり、クリトリスを擦ったり。 勿論、そこだけの刺激ではなく他の場所も忘れずにした。若いだけあって、乳房の張りと皮膚の滑 らかさはバツグンだ。こちらがちょっと吸って噛むだけで、艶めかしい声を上げてビクビク震える。 白い肌の上に浮かぶ赤い痣は、後から見返すとまるで花畑のようだったよ。 彼女は、潮吹きの寸前まで嫌がって抵抗してきたが、それもまた一興だった。何せ、口では嫌がり つつも身体は正直に悶えて悦ぶんだ。ジブンが弄れば弄るだけ、彼女はよがり、絶頂を囀ってくれる のだよ。 潮吹きの瞬間……あれも素晴らしかった。背中をびっくんびっくん逸らして痙攣しながら、入って いたジブンの指が折れそうな程に膣をグニングニン揺らしながら、おしっこみたいに大量の愛液を宙 にブシャーと飛ばして。ジブンの手で結構な量を遮られただろうに、空中で綺麗な弧を描いてた。 勿論、ビデオカメラでその様子はしっかり撮らせて貰ったよ。彼女の股の前のアップと全体の俯瞰 の二つでな。 噴かせた後はどうしたかって? そりゃあ昨日と同じようにたっぷり楽しませて貰ったよ。お預け させていたジブンのムスコが、我慢できなくてパンパンになっていたからね。腰をパンパン叩き付け て犯したさ。 指よりもずっともっと太くて長くて固いモノで彼女を何度もイかせてジブンもイって。潮吹きする まで弄ったお陰か、昨日よりもずっと締まりの緩急も表面の感触も良くなってて、ジブンが開発した と思うと”愛おしい”気持ちが胸の中に溢れて止まらなかった。 結局何回中出ししたかな。ジブンの気が済んだ頃には彼女は目を剥いて痙攣してて、股もジブンの 精液で真っ白になっていたよ。 ============================================= ============================================= ――初日、二日目と、こちらがたっぷり奉仕してあげた。 だから三日目は彼女から奉仕して貰う番だ。従順にしゃぶって咥えてくれる様子を撮影しようと決 めた。 だけど彼女は強かった。危害を加えてはこないけど、媚びる事もなかった。 舐めてくれ。根元まで咥えてしごいてくれ。咥えた状態で吸い上げてくれ。言っても彼女は中々従 わない。 しょうがないので、やる気が見えないと思った時点で顔を掴んで無理矢理イマラチオを行った。喉 をガンガン突いて嘔吐かせながら、キミに拒否権はない事、ジブンの命令へ素直に従わなければずっ とこうして一方的に犯される存在である事を懇々と言い含めた。 で、ジブンが口腔へ出したり彼女の顔へぶっかけたら、また最初から口の奉仕を行わせる。やる気 が見えなければまた強制イマラチオと囁き。それを5回ぐらい繰り返した時点でようやく素直になっ てくれたよ。流石に少しくたびれた。 だけど、苦労した分の達成は素晴らしい。ユガミ君を愛する彼女が、ジブンという他人に――愛し てはいないであろう存在に、ここまで健気にご奉仕してくれる。 ジブンは”愛おしい”が、彼女は多分違う。だがジブンのを舐めてしゃぶって、頬を凹ませるほど 吸い上げて圧迫してくる。最愛の人へするように、素直にご奉仕してくる。それはもう極楽だった。 ============================================= ※※※ 亡霊が心音を監禁して犯し始めてから四日目。 「……こんなものでいいだろう」 リビングを見回して亡霊が満足げに息を吐く。 黒革の二人掛けソファーの正面に一台、斜めからソファー全体を俯瞰するように一台、設置された ビデオカメラ。両方とも映像ケーブルがリビングにあるTVと繋がれ、リアルタイムで映像が流れて いた。 「来たまえ、ココネクン」 亡霊が呼びかける。少しして、亡霊のシャツだけを羽織った心音がよろよろした足取りでリビング に入ってきた。 陰鬱と疲労の色が浮かぶ顔。瞳からは光が消え、焦点もどこか虚ろだ。下ろされた髪は幽霊の佇む 柳のように揺れつつ、数本が身体に貼り付く。内股気味の太腿には精液の白い汚れが幾つも垂れてい た。 「――!? ま、まだやるんですか……!?」 TVに接続されたビデオカメラ二台に、心音が息を呑んで怯える。 「当然だ。解ったなら、シャツを脱いでこっちへ来たまえ」 亡霊は二台のビデオカメラの録画スイッチを入れると、手招きをした。 絶望に顔を歪めながらも、心音は羽織っていたシャツを脱いで亡霊の前まで歩く。 「まずは昨日教えた通りに、口でご奉仕して貰おうか」 亡霊はソファー正面を映すカメラの前へ陣取ると、ズボンから牡茎を引き摺り出した。 心音が亡霊の前へ跪くと、彼の牡茎をそっと手に取り、口を開く。そして、ビデオカメラのすぐ前 で亡霊の牡茎を舐め始めた。 ちゅぱ、じゅぱ、じゅぷ、と、彼女の唾の音がカメラを経由してTVスピーカーから響き始める。 「そうそう。上手いじゃないか」 しゃぶる心音の横顔が映るTVを眺め、亡霊が恍惚と息を吐く。別の位置に据えたカメラに視線を 飛ばせば、跪いた心音のお尻から白濁液がデロリ垂れていた。 (……この用件も明日で終わりだ) 彼女を情報付きで解放し、ジブンは再び姿をくらます――”亡霊”でもスパイでもない、市井の人 間として。 一抹の寂しさすら覚える己のココロに亡霊は驚きつつも、ほくそ笑む。 (やはりこの用件に彼女を選んだのは正解だった) こうもココロが動くほど”愛おしい”。普通の人間にはあって”亡霊”にはない”愛おしい”。 このココロさえあれば――彼女との五日間と”愛おしい”を礎にすれば、ジブンはもう”亡霊”で ないのだ。 亡霊の胸が高鳴り、連動して牡茎にも力が篭もる。丁度そこへ心音の舌が裏筋を舐めてきた。 強い刺激と気持ち良さに、亡霊の牡茎が勝手に本能を爆発させる。 「んぐっ!?」 びゅくびゅくびゅるびゅる飛び散る精液に心音が顔をしかめて悶える。逃げるように開いた唇の隙 間から白濁液がデロリ垂れて顎をつたう。 亡霊は慌てて彼女の顔を上向かせて零れるのを防ぐと、開き直って残りも全て放出した。 「んむぁっ……!!」 目に涙を浮かべて心音がむせる。隙間からまた精液が幾らか飛び出すが、それ以上の量が彼女の口 腔へ注がれて溜まっていく。 亡霊はゆっくり慎重に牡茎を引き抜くと、近くにあるカメラへ心音の顔を向かせた。 心音のバストアップがTVに映る。どんよりした目で頬を上気させ、唇や口の中を濁った白でまみ れさせた顔が映る。 「――!!」 ビデオカメラを通して突きつけられた己の顔に心音がびくり身体を震わし、目端に涙を浮かべる。 が、瞳の色は変わらず――陰鬱と快楽にまみれて濁っている。 「上体を曲げたまま足を立てるんだ」 亡霊が心音のうなじを手で軽く抑える。 心音がうっとなるものの、すぐにしゃがんでいた腰を浮かせ、ビデオカメラへお辞儀するように上 体を折り曲げた。 亡霊は心音のうなじから手を離すと、彼女の両手を後ろに引っ張る。心音の背が少し逸れ、カメラ の前でぷるり乳房が揺れる。 亡霊は心音の真後ろへ陣取ると、だらしなく開いていた牝肉孔へ牡茎を突っ込んだ。 「ひゃいっ――!」 心音が掠れた声をあげて上体を揺らす。反動で口の中に溜まっていた精液が零れ出て、彼女の顎や 胸元に落ちる。 それをTV越しに眺めながら、亡霊は腰を振り始めた。 ビデオカメラと真正面から向き合った状態で、亡霊が心音を突いて貫く。 「やっ、やぁあっ……!」 心音が顔を真っ赤にして悶える。口の中の精液が更に零れて、ぷるんぷるん揺れる乳房で跳ね返っ て飛び散る。その様子を真正面からビデオカメラは撮っていく。 もう一台、少し離れた所に設置されたビデオカメラには、横から俯瞰する形で二人の姿が――上体 を折り曲げて後ろ手にされた心音が自ら腰を振って亡霊に犯される様子が、映されていた。 「ああ、素晴らしい……素晴らしいよ……」 カメラに映る痴態は勿論、映らない内部――牡茎をぎゅうぎゅうに咥え込んで締め付けてくる牝肉 孔や、逃げるように身動ぎながらもキスをしてくる子宮口の感触も。 全て全て素晴らしい、”愛おしい”。ついさっき出したばかりだというのに、もう次の精液が装填 される。意識して堪えておかないといけなくなってくる。 亡霊は心音の尻へ腰をパンパン叩き付けて、犯し続ける。ぷくり腫れ上がった粒肉や淫花を何度も 圧しひしゃげさせては、根元までねじ入れて貪っていく。 「ヒッ……だ、だめ……も、う、腰が……ぬけ、る……」 心音が両足をガクガク震わせる。言葉通り、腰もユラユラ落ちかけては、その度に亡霊から腰と牡 茎を叩き込まれて戻っていた。 「やれやれ。しょうがないな」 彼女の口に精液が殆ど残ってないのをTV越しで確認すると、亡霊は彼女を後ろから抱きかかえ、 そのままソファーへ一緒に座り込んだ。 唐突に飛び込まれたソファーのスプリングが、驚いたような物音をたてる。 根元までみっちり挿入された牡茎の角度がぐるり回った刺激と、重力で更に密着する腰と腰に、心 音が目を剥いて悲鳴をあげる。 亡霊は心音の乳房をわっしと掴むと、お互いの背を軽く逸らして腰を揺らし始めた。 ソファーのスプリングが軋む真上で、亡霊が心音を突き上げる。びらを全開にした淫花の間を、屹 立した牡茎が大量の愛液と一緒に潜ったり飛び出したりする様子を、真正面に置いたビデオカメラに 撮影させる。 「すぐ外では、こんな風に受け入れてくれてたのか」 亡霊が熱っぽく囁けば、心音が喘ぎながらガクガク顎を震わせる。その目端からは涙が、口端から は涎が垂れて顔を濡らす。 (……どんな味がするのかな?) 亡霊は、心音の顔についた涙と涎を舐めてみる。その際、舌先が心音の唇に触れた途端、彼女が悲 鳴のような嬌声をあげて身震いしてきた。 牝肉孔が悶えるように身動ぎ、むぎゅうと締め付けてくる。 「ほぅ……」 新しい反応に、亡霊は興味を覚え、舌を再び心音の唇へ近づける。触れる寸前、心音が亡霊から逃 げるように顔を背けてきた。 彼女の亜麻色の髪がしなるように回って、亡霊の顔を軽くはたく。 (!? まだ拒絶する意思と箇所が残っていたのか……!) 亡霊が目を剥いて驚き、それから瞳をすっと冷たくする。 心音の乳房を揉んで乳首を弄っていた手を彼女の頭へ回すと、力ずくでこちらを振り向かせた。 「んむゃっ……!」 拒絶する心音の声を、亡霊は己の唇でもって塞ぐ。 「んんんんぁ……!!!」 眼前にある心音の瞳が歪み、大粒の涙をぼろぼろ流し始める。 (まさかキスだけでこんなにも嫌がるとは……!) 最初に犯した時のような反応に亡霊は盛大に驚く一方、胸の中が”愛おしい”想いで熱くなってい く。 (――素晴らしいよ。”愛おしい”よ……) 心でそっと囁きかけると、亡霊は舌を突き出し、ついさっき牡茎で蹂躙した心音の口腔を、今度は 己の舌で掻き回し始めた。 同時に、いつの間にか停止していた腰の律動を再開させる。 「んー、んんぅー!! んむぁあぁ……!!!」 上の口も下の口も完全にロックされた心音が、乳房と髪を振り乱して悶える。 ぐじゅぐちゅとシェイクされた唾が二人の顎をつたう一方、牡茎の抜き差しに合わせて愛液が二人 の下半身を濡らしていく。 パンパンと腰の肉が叩き合わさる音もすっかり濡れて、ソファーの黒革には大きな染みがべっちょ りつく。 「ん、んぁ、ぁ、むぅぁあぁ……」 心音の、亡霊から唇を離そうとする抵抗が徐々に薄まっていく。反比例して瞳の奥が更なる快楽で 濁り、牝肉孔の締まりと痙攣の頻度が増える。 小突く度に触れる子宮口も咀嚼するような動きを始め、亡霊に射精を誘ってくる。 (そろそろ良いか……) 亡霊は心音の頭から手を離すと、粒肉を軽く擦りながら中指を折り曲げ、彼女の胎内へ突っ込んだ。 牡茎を抜き差しに合わせて中指を進ませ、彼女のGスポットへ指先を固定させる。 「ひゃいいいいいいいっ!!?!」 心音が絶叫をあげて仰け反るのも構わず、亡霊は腰を振るう。Gスポットを指で強く圧しながら牡 茎で子宮口をガンガン突き上げ貫く。 そして、数度の往復の果てに、心音が再度絶叫をあげて全身を竦ませた。 牡茎と中指の隙間から、ぶしゃぁあっ! と、大量の愛液が潮を吹く。 心音の胎内にも激震が走り抜け、揺さぶられた亡霊の脳髄が快楽でキーンと痛くなる。牡茎も堪え きれず精液を放出させ、彼女の子宮口へ白濁の礫をぶつけていく。 外では愛液が、ナカでは精液が、それぞれ勢いよく噴き出て拡散していく。 亡霊は軽く身震いして精液の残滓を彼女の胎内へ注ぐと、突っ込んだままだった中指を外して腰を ひいた。 ぬちゃぁ……と、粘っこい水音をたてて二人の肉体が離れる。 「ぁ……」 心音が泣きながらほっと安堵したかと思うと、ソファーへ力無く倒れた。 「…………そんな……キスまで……キスだけは夕神さんだけって……守りたかったのに……」 ソファーに寝転がった心音が無力感と絶望に震えて涙する。 「あぁっ……うぁぁあぁっ……!!」 ソファーの黒革を指でガリガリ引っ掻きながら心音が嘆いていたら、ふいに身体を回された。 真正面に置かれたカメラと向かい合ったかと思うと、片足をソファーの背もたれに引っ掛けられ、 大股を開いて横たわる格好にさせられる。 「丁度いい方向に倒れてくれて良かったよ」 亡霊が嗤う背後には、斜め前からソファーを俯瞰して撮るビデオカメラがあった。 「! ……まだ、なの……? まだわたしは、貴方に犯されるの……!?」 「安心したまえ。5日たてば――明日になれば解放する約束は必ず守る。撮影も今日のこれで最後 だ」 絶望に震える心音へ、亡霊が穏やかな微笑みを浮かべる。 「だから。〆はよがり狂ったキミが絶頂の果てに気絶するまでを撮らせて貰うよ」 亡霊はにこり笑って言い放つと、心音が絶望に悲鳴をあげる間も与えずに犯し始めた。 ※※※ ============================================= ――ああ、ほんと素晴らしく”愛おしい”気持ち。感情などとんとなかったジブンへ、注ぎ込まれ ていく、満たされていくココロ。 空っぽであるが故に、何物でもない虚無だった故に、存在していた”亡霊”が、ジブンから確かに 削られていく。”亡霊で無くなっていく”――。 ============================================= 「……約束通り、今日で最後だ。”亡霊”は二度と、キミタチの前には現れない」 五日目最終日。 数度目の放出を終えて数秒後、亡霊は心音の胎内から牡茎を引き抜く。中に溜まっていた液を掻き 出すように、ずりゅっ、と、外れた途端、彼女の胸元でモニ太が驚きの黄色と喜びのグリーンで光っ た。 (おかしな機能があるといけないから没収していたが、これなら着けっぱなしで撮影を行った方が良 かったかもな) モニ太の反応を見て、亡霊はちょっとだけ後悔するが、過ぎてしまったものはしょうがない。 ――”亡霊でなくなる為の”撮影計画は昨日で終わった。もう二度と彼女を抱く事はない……出来 ない。それが思った以上に名残惜しくて、ついつい身体を重ねてしまった。 「……ココネクンには感謝してもしきれない。キミの……キミと過ごしたこの五日間のお陰で、ジブ ンから”亡霊”は消え去った。これから市井の人間として過ごす為の礎を手に入れる事が出来た」 ベッドから下りて牡茎を仕舞うと、亡霊はちらと振り返り、ベッドの上に残した心音を見る。浚わ れた時の衣服を纏ってはいるが、乳房は表に引き摺り出されて無数のキスマークと歯形がつき、股と 太腿の付け根は精液と愛液でぐちょぐちょに濡れていた。 「…………どういう、事ですか……?」 心音が問う。ここ五日間、幾度も絶頂を囀ってきたせいかそれとも絶望故にか、すっかり掠れきっ た声で。 「ただの人間にあって”亡霊”に無いのはココロ――何かを”愛おしい”と思う気持ちだ。ジブンは、 今までそれが無かったから”亡霊”だった」 だがこれからは違う。 「これからジブンは、キミと過ごした五日間の記憶を”愛おしい”と思いながら生きていく。スパイ でもなんでもない、ただの人間として」 どこにでもいるような一人になって社会の片隅で慎ましやかに生きていく。 「時々は、この五日間に撮り溜めたビデオカメラの映像を観賞して”愛おしい”という気持ちを確認 する事もあるだろう。だが、ジブンはもう”亡霊”として捕まる事はない……”亡霊”ですらない。 ――キミとの逢瀬を礎に”愛おしい”想いを、ココロを手に入れたのだから」 そう告げた時、亡霊の顔は自然と笑みを浮かべていた。 「ありがとう、ココネクン。ジブンは、キミのお陰で人間に生まれ変われたよ」 心からの感謝を込めて亡霊が述べる。 言われた心音が微かに息を呑んで表情を変える前で、亡霊は踵を返した。 「ジブンが退室して暫くしてから、キミがここにいる事を連絡する。お土産のデータは、そこのサイ ドテーブルに置いておいた。後で持ち帰ってくれ」 喋りながら部屋の入口まで歩き、当座の荷物をまとめたスーツケースを手に取る。 「もう二度と会う事はない……が、もし、ユガミくん達がジブンを追いかけてくる事があれば、この 五日間の撮影データをネットに放流するので気をつけたまえ」 警告に、ベッドに寝転がる心音がビクンと身を竦ませるのを背中で感じながら、亡霊が部屋のドア を開け放とうとした矢先。 「…………だめ、です……」 心音から、か細い声が届いた。 「だめ……そっちには、何もない……いっちゃだめです」 強張る亡霊の背中へ、心音の掠れた声が再度届く。 亡霊の心臓がドクリ波打ち、彼女の方へ振り向きたい衝動に全身が揺れる。が、無意識のうちに捻 りかけた上体を、握っていたスーツケースの重みが引き止めてきた。 「――……!」 亡霊は、はっと我に返る。 「――ここにいてもジブンに未来はない。法の下に死刑になるか、組織の送り込んできた殺し屋に殺 されるか。……そんなもの、まっぴら御免だ」 「でも……貴方が向かおうとしている先は、何もない。完全に独りになってしまう道です……」 背を向けたまま吐き捨てる亡霊に、心音がか細い声のまま反論してくる。 「貴方が真に生きたいと願うなら……そう願うのならばこそ、そっちへは行っちゃ駄目です」 今にも砕けそうな程弱々しい心音の声は、亡霊に、胸をワイヤーで引き絞られるような痛みを抱か せる。 が。 「お願い……ちゃんと自分の犯した罪と向き合って、償って。でないと……」 震える声で心音が請うてきた途端、亡霊の胸の痛みは解け、意識はすっと落ち着いた。 「――人間は独りで生まれ、死んでいく生き物だ」 はっと肩を揺らして笑い飛ばすと、亡霊は顎の付け根に手をあてる。額の裂けたバンのマスクに歪 みが浮かぶ。 「ならばジブンは生きる。檻の中、誰かに処刑される瞬間を怯えながら過ごす位ならば、独りで生き 延びる方を選ぶ」 心音に背を向けたまま言い切ると、亡霊は被っていたバンのマスクを勢いよく脱ぎ捨て部屋を出た。 ドアが無機質な音をたてて閉まり、床に落ちたマスクがふわり揺らぐ。 「ぁ……」 背を向けたまま出て行った亡霊に、ベッドの上から手を伸ばしていた心音が微かな声をあげて顔を 歪めた。 『イッショウニゲラレルワケジャナイノニー……』 胸元で、五日ぶりに装着したモニ太が、蒼く染まる。 「……そうだよね……」 モニ太に言い返しながら、心音はごろんと仰向けになる。昨日のように気絶するほどではないが結 構な回数貪られた身体は気怠さで重くて、ベッドから起き上がる気力すらない。 (結局、わたしは何も出来なくて……) 物思いにふける意識は、ふいに胎内から零れた熱の残滓によって切断される。 淫花から滴り落ちた欲情の欠片は、心音の身体の芯へ針で突かれたかのようなじれったさと気持ち 良さを呼び覚ます。 「っ……!」 たまらず心音が身体を縮めて堪える。その後で、自分の頭を乗せている枕を掴んで嗚咽し始めた。 (犯された汚された……) なのに気持ち良さに溺れてよがってしまった。 この五日間の記憶が、心音の中で台風のように渦を巻いて暴れ狂う。 『ヤダヨー、ヤダー、ヤダー……』 胸元で、モニ太が悲しげな電子音を繰り返すのを聴きながら、心音はひたすら泣き続ける。 そうしてどの位の時間が経っただろうか。 自然と泣き疲れて眠っていた心音が、ふいに我に返った時。外からドアのノブを回す音が聞こえた。 「ココネっ……!!」 竦み上がるようにベッドから上体を起こして振り向いた心音の前で、ユガミがドアを蹴り飛ばす勢 いで入ってくる。 「夕神さ……」 心音が何の気なしに言いかけ、はっとなる。今の自分の姿、亡霊に散々弄ばれて汚された自分の姿 を思い出して。 「――!!」 心音が目を剥いて息をひっと呑んだと一瞬、胸元のモニ太が様々な色の光で目まぐるしく輝きぶつ んと切れた。 「ひっ……いやあぁぁぁぁぁっ!!!」 心音の絶叫が、近付こうとしたユガミの足を止める。 「見ないでぇぇ!!! お願い、見ないでぇ……!!!」 心音がユガミから背を向け、真っ黒になったモニ太を抱えるように縮こまる。頭の中は何度も爆発 が起きてぐちゃぐちゃに攪拌されて、訳が分からなくなってくる。 ――いや、”解りたくない”が正解か。 好きでもない男に犯されて汚されて……それを気持ち良かったなんて感じて。最後の方は自分から 腰を振っていたなんて。 それを一番知られたくない人に、一番愛している人に、知られてしまったなんて。 「ひっ……!」 心音の瞳から光と焦点がすっと消える。 「い……いや、いやぁぁ……!!!」 痙攣する自分の身体を押し潰すように抱き締めて、心音が、眼球が零れんばかりに瞼を剥く。全身 が自壊しそうな程に揺れて苦しくて気持ち悪くて、いっそこのまま砕けて――死んでしまいたい。 音程の外れた笛のように乱れた呼吸音を喉から吐き出して心音が震えていたら、ふいに後ろからユ ガミが抱き締めてきた。 「――!!?!!」 天井へ頭をぶつける勢いで竦み上がった心音へ、ココネ、と、ユガミが掠れた声で呼びかけてくる。 深い悲しみと怒り――そして”無事で良かった”と喜ぶノイズと共に、心音を包み込むように全てか ら隠すように、抱き締めてくる。 「ぁ……」 心音の痙攣が止まる。 かなりの時間が経ってから、心音は恐る恐る振り返る。 ユガミは、包む両手は決して離さず、でも、心音が自由に動けるように優しく抱き締めてくる。そ んな彼の温かさと大きさに、両目から涙を流して頬を濡らしながらも心音を決して離そうとしない彼 の姿に、心音が気が付いた途端、自壊しそうな程に苦しかった痙攣がぴたり収まった。 「……ゆぅ、が、み、さ……ん……」 心音の瞳の光と焦点がじわじわと戻ってくる。同時に、目に涙が溢れ、ぼろぼろと滝のように流れ 出してくる。 そのままユガミへ全力でしがみつくと、心音は誰に憚ることなく泣き喚き始めた。 ※※※ それから月日は二十数年ほど流れ――。 とある地方にあるホスピスの個室のドアが、壊れんばかりの勢いで開かれる。 「……思ったより早かったな。あと数日はかかるかと思ったのだが」 ぜいぜいと荒い息をついて部屋へ飛び込んできたユガミを見つめ、ベッドの上にいた男性が唇を綻 ばせた。 「それにしても……キミは元から老け顔だったからか、あまり変わっていないな」 「黙りなァ!」 肩を竦めた男性へ、ユガミが眦を裂いて怒鳴る。その迫力に、ドアの外へ集まりかけていた野次馬 達が蜘蛛の子散らして逃げていった。 「”亡霊”……テメェが今更何を企んでいるか知らねェが、ココネ達には指一本触れさせねェ! 留 置所で死ぬまで尋問付けにしてやらァ!!」 地獄の底から這い出てくるような声と迫力を乗せて歪みが告げる。 「――ああ、それも仕方ないなぁ」 男性は、少しだけ目端を動かした後、疲れた様子でため息をついた。 「まぁユガミくんにはそこまで手間をとらせないよ。どの道、末期ガンでそれ程長くないと宣告され ているんだ」 「……だからこそ、最期の懺悔ってヤツかァ?」 軽蔑に顔をしかめたユガミが一枚のポストカードを男性の前へ放る。ぐしゃぐしゃに握り締められ たそれは、男性がリタアドなしでここから出した手紙だった。 「このハガキに嘘はない。あの時の映像は、ここに入る前に全て処分した」 淡々と答えると、男性はポストカードをサイドチェストへのせる。 「その、テメェの身勝手な計画の為に、ココネがどれだけ苦しんだと思っている……!!」 「解っている。法廷に復帰出来るまで丸二年かかったそうだね」 男性がさらっと告げる。 ユガミの怒気がはらみ、ベッドにいる男性の胸倉を掴みかかる。 「……法廷への復帰と同時期に、ずっと献身的に支えてくれたキミと結婚し、やがて一男一女をもう ける。正義感の強い長男は警察へ入り、次女は心理学者の若きホープ。『地球が生まれてから二人目 の天才』とは、キミのお姉さんのコメントだったかな?」 掴まれたままに、男性は淡々と述べる。 さっと顔をこわばらせたユガミへ、男性は力無く微笑んだ。 「……前に一度だけ、キミ達家族を遠くから見せて貰ったよ。とても幸せそうで……そして、あの時、 彼女が引き止めてきた本当の理由がようやく解った」 生きる事は出来ても、独り。その意味がやっと解った。 「――ココネクンの言う通りだった。こっちには何もなかった……」 がらんどうのガラス容器に何も持たされずに閉じ込められて、ガラスの向こう側に広がる幸せを眺 め続けるしか出来なかった。 「それでも、あの時のジブンは生きていけると思ったんだ」 映像と思い出を礎に、ジブンなりに独りで生きていける……逃げ続けられると思ったんだ。 でも……。 「結局、ジブンは、ジブンで思っていた以上に愚かで弱くて、そして寂しがり屋だった」 疲れきった様子でため息をつく男性の顔に、陰鬱な影がかかった。 「……今更なァに言ってやがる」 ユガミがはっと笑い飛ばすと、男の胸倉から手を離す。 「今からテメェを留置所へ移送する。中断していた”亡霊”の尋問は勿論、脱獄と逃亡生活にまつわ る尋問もセットできっちり追求してやるからな。覚悟しなァ」 瞳を怒りに燃やしながら告知するユガミに、男性がこくり頷く。 「……予め言っておくが、向こうに戻ればココネに会えると思ったら大間違いだ。俺の権限全て使っ てでも、面会なんざさせねェからな」 「そうか。……ついぞジブンにアフロディーテは訪れない、か」 ふうとため息をついて呟いた男性に、ユガミが目を剥いて息を呑んだ。 「! 映像の目的でもしやと思っていたが……やはりピュグマリオンコンプレックスを応用して感情 を会得していたか……!!」 ユガミが奥歯をギリギリ食い縛って呻く。 ピュグマリオンコンプレックス――心理学用語では人形偏愛症(ピュグマリオニズム)と呼ばれる それは、人間ではなく人形に偏愛を抱いたり、女性を人形のように扱う性癖等を意味する。由来はギ リシャ神話の【自ら彫り上げた女性像を本気で愛した末に女神アフロディーテから女性像を人間にし て貰ったピクマリオン】の逸話からきている。 「……ああ。何かを”愛おしい”と思う気持ち。それこそがジブンから”亡霊”を消し去って逃げお おす為に必要だったからね」 「その為にココネを……ココネをあんなにも苦しませて泣かせて……!!」 ユガミの顔が真っ赤に染まる。 「ココネはテメェの彫像じゃァねェっ!!!!」 部屋そのものを震わせるほどの声で、ユガミが叫んだ。 「………………ああ。解っているよ」 激情に荒ぶるユガミとは対照的に、男性は淡々と冷静なまま口を開く。 「そうでなければ、こんなにも”寂しい”なんて思わなかった。ずっとあの五日間の思い出と幻想の みを愛して生きていけた。……今更になって、こうして居場所を報せるなんて愚行をしなかった」 あの日、立ち去ろうとした背中にかけられた心音のか細い声が、男性の背中を撫でていく。 (……あの時、立ち去らずに振り向いてココネクンを見ていたら……どうなっていたんだろうなぁ) ふと浮かんだ疑問は、あの五日間の記憶と愛おしいという想いを蘇らせ、男性の胸へズキリとした 痛みを走らせる。 男性は少しだけ目を伏せると、自虐的な笑みを唇に浮かべた。 「移送するぞ! とっとと手続きしやがれ!!」 ユガミが男性から背を向け、ドアの外にいるスタッフへ八つ当たり気味に指示を飛ばしていく。 その背中を眺めながら、男性はふうと安堵の息をついた。 (どうやら、何故今更連絡してきたのかは見逃して貰えるようだな……) 留置所で死ぬ事になると解っていても、手紙を出した本当の理由。 (……もし、最後の一瞬だけでもココネクン、キミと出会う事が出来たなら) そんな希望に縋りながら残りを生きていけるなら。 (たとえ再会が叶わず死んだとしても……ジブンはそうしたい、そう生きたいと思ったんだ) 今更、遅すぎるかもしれないが、な。 サイドボードの上、突き返されたくしゃくしゃの手紙をちらと見やって、男性は穏やかに微笑んだ。
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千尋×真宵(1) 祭日が重なり合った週末の連休。その日、千尋の住むマンションに真宵が泊まりにやって来ていた。 千尋にとって個人事務所を開いてから忙しさ常態化した日々の中、真宵と会うと言っても、いつも時間が限られていたが、その日は時間を忘れ、のんびりと姉妹水入らずの時間を楽しんでいた。 互いに近況報告から始まり遊びの話、懐かしい思い出話と会話は弾み、落ち着いた心安らぐ時間の中、ふと千尋は真宵の霊媒師としての修行の事について聞いた。 「どう真宵、修行の方は進んでいる?」 「えっ?」 それまで、にこやかだった真宵の表情が千尋の何気ない質問と同時に一変した。 「真宵?……」 家を出た身としては、それまで、あまり口にする事の無い話題だったが、久々にのんびりと過ごせる時間に出た、その話題について真宵の表情を酷く曇らせた。 「どうしたの真宵、何かあったの?」 心配げに様子を尋ねる千尋に対して、真宵は顔を上げ「なっ、なんでもないよ、お姉ちゃん」と気まずげな調子で答えた。 「真宵!」 千尋は、はっきりとしない真宵の返答に対して、すぐさま厳しく問いただし、真宵は、その姉の声に大きく体を震わせた。 普段、千尋はとても優しいが怒った時は、怒った時で生半可な物ではない事を真宵は、よく理解していた。 真宵はジッと自分を見据える姉の様子に脅えの感情が沸き起こった。 「ちゃんと言いなさい真宵、何かあったの?」 「えっ、そっ、それは……」 「真宵」 口籠もる妹の様子に千尋の視線は更に厳しくなりプレッシャーを増す。真宵は、そんな姉の視線に押し潰されそうになりながら本音を吐露した。 「わっ、私……ダメかもしれない……」 「ダメ、何がダメなの、真宵?」 「どんなに修行しても霊媒が出来ないんだ……、私って、やっぱり才能が無いんだと思う……」 「真宵……」 酷く落ち込んで答える真宵の様子に、千尋は真宵の悩みの深刻さ少し驚いた。 今まで、それとなく真宵が霊媒の修行に悪戦苦闘しているとは耳にしていたが、いざ、実際、本人を前にして問いただしてみると、よほど追い込まれている事が分かった。 しかし、千尋自身、真宵には霊媒が出来ない、才能が無いのか、と考えれば、その答えは、はっきりと否定できる。 真宵は自分と同等、いや自分以上に霊媒の才能があると千尋は強い確信を持っていた。 要は真宵自身、真宵の性格からして霊媒と言う物に対して、どこか物怖じしているのだと千尋は結論に至った。 年の離れた妹、さらに母が他界してから全ての妹の面倒を見てきた千尋にとっては真宵は目に入れても痛くない可愛い妹だった。 しかし、あれこれと手を焼き、可愛がりすぎたせいか、真宵は甘えたがりな面が抜けきれず何をやるにしてもまず最初に躊躇してしまう引っ込み思案な所があった。 千尋は、真宵もそろそろしっかりとさせなければいけない、と強く思った。 「真宵、いい事、よく聞くのよ、霊媒にはね、一つのコツがあるのよ」 「えっ?」 「常識的に、世間一般の通念では霊媒は、いかがわしい物だと思われがちだけど、それは違う事はよく分かっているわよね」 「うっ、うん」 「でも真宵は心のどこかでそう思っているから、修行の妨げになっているのよ」 「えっ!」 「いいこと、霊媒には霊の存在を一点の疑いなく信じて、霊に自分の身を委ねなければいけないの」 「身を委ねる?……」 「ええっ、それが霊媒を行うにあたって重要な事よ」 霊媒という物に思い悩む妹に対して千尋は、霊媒のなんたるか説明した。しかし、この世でもっとも信じられる姉の言葉を受けても真宵の表情は晴れない。 「でっ、でも……わっ、私……」 姉の言葉に思い悩む真宵。だが、そんな真宵の反応も千尋の予測した物だった。 「真宵、服を全部、脱ぎなさい」 「えっ」 不意に、突然も訳もなく言い放った姉の言葉に真宵は顔を上げて驚く。 「今から実践で私が霊媒のなんたるかを教えてあげるわ」 「おっ……お姉ちゃん」 真宵は自信たっぷりに言い放つ姉の言葉に、無意識に頼りを感じつつも、ほんの少しだけ不安を覚えた。 姉に言われるまま、真宵は自分の着ている衣服に手を掛けた。 姉の考えはまったく意図は分からなかったが、それでも、疑って抗議する事も無く、ゆっくりと服を脱いでいった。 「おっ、お姉ちゃん?……」 服を脱ぎ終えた真宵は、体を縮ませ手で自分の胸と秘所を隠しながら不安げに姉の名を呼んだ。 そんな妹の弱々しい呼び声に対して千尋は厳しく言い放った。 「手をどけなさい真宵!」 「えっ?」 「恥ずかしくないから、手をどけるのよ」 自分の期待していた言葉とは正反対の意味を持って告げる姉の言葉に、真宵はおずおず手をどけて自分の生まれたままの姿を晒した。 全体的に幼い無邪気な雰囲気を漂わせる真宵の体は、その印象どおりの全体的に未発達な細くしなやかな肢体で秘部の恥毛もごく控えめな楚々とした物だった。 しかし、そんな発展途上の真宵の体の中にあって胸の薄いピンク色の乳頭は緊張からかピンと立ち健気な自己主張をしていた。 「おっ、お姉ちゃん……」 真宵は手を組み、ジッと見てくる千尋の視線に耐えながら、すがるように姉の名前を呼ぶ。 千尋とは今でも一緒にお風呂に入り、ある意味、自分の裸を見られても、もっとも恥ずかしくない相手であったが、不自然な状況に恥ずかしさがこみ上げた。 恥ずかしさのあまり足を震わせる、そんな真宵を千尋はじっくりと観察した。 「おっ、お姉ちゃん、もういい?」 「ダメよ、真宵」 懇願する妹の言葉に対し、千尋は厳しい言葉に真宵はさらに恥ずかしさを募らせ、瞼を閉じた。 瞼を閉じ羞恥に震える妹を前に千尋は、ゆっくり立ち上がり、自分の着ている服に手を掛けた。 仕事着でもある黒いスーツ、普通の下着店では滅多に見る事のない大きなブラジャーに黒のTバックとガーターベルト。それぞれ何の躊躇いもなくテキパキと千尋は脱いでいった。 「真宵、目を開けなさい」 「えっ……おっ、お姉ちゃん?……」 自分と同じく一糸まとわぬ姿になった姉を前に驚く真宵。千尋は堂々と妹に対して自分の体を堂々と示していた。 「しっかり、私の体を見なさい、どうなってる」 「おっ、お姉ちゃん」 真宵は自分に比べて堂々と裸になっている姉の体をマジマジと見つめた。 千尋の体は、未成熟な真宵の体と比べ、とても成熟した体を誇っていた。 長くまろやかな肉感的な太もも。ボリュームのある安産型の大きなヒップにしっかりとくびれたウエスト。 そして何よりも素晴らしい充実を示す、メロンの様に大きく丸い乳房は透き通るように白く艶やかに張りつめ圧倒的な存在感を誇っていた。 「おっ……お姉ちゃん……」 同じ血を分けた姉妹とは思えぬほど成熟した姉の体。そんな姉の肉体を前に真宵は自分の体がいかに貧相な物か思い知らされたかのように恥ずかしげに身を縮ませた。 「いいこと、真宵、恥ずかしがってはダメよ、恥ずかしがれば、それはすなわち心を閉ざすこと、霊を拒絶することになるわ」 「でっ、でも……」 ぐずる真宵に対して千尋は真宵の手を取り、そっと自分の豊かな胸へと導いた。 「おっ、お姉ちゃん!」 「ほら、真宵の好きなおっぱいよ、真宵、子供の頃、私のおっぱいがなければ寝付けなかったでしょ」 「おっ、お姉ちゃん!」 子供の頃の恥ずかしい赤裸々な思い出に真宵は顔を赤らめる。 子供の頃の真宵は、とても元気な子だったが臆病で怖がりな面もあり、夜は千尋と一緒でなければなかなか寝付けなかった。 そして、当時、膨らみ始めた千尋の胸をよく枕代わりにしていた。 千尋は妹の手を自分の胸に押し当てながら包み込むように真宵を優しく抱き締めた。 「いいのよ、真宵」 優しく言う姉の言葉に真宵は、それまで感じていた恥かしさが霧散していくのを覚え、千尋の、とても柔らかな深い胸の谷間に顔を埋めた。 「気持ちいい、真宵?」 「うん、凄く落ち着く」 姉の柔らかい胸、頭を優しく撫でられる真宵はとても穏やかに安らいだ調子で答える。 そんな真宵の目の前に、姉の少し大きめのピンクの乳頭が見えた。 「吸ってごらんなさい、真宵」 「えっ?」 自分の乳首を見つめる妹に対して千尋はそっとささやいた。 「いいから、吸いなさい」 真宵は千尋に言われまま姉の胸の乳首に唇を付けた。最初は恥ずかしが先走ったが、形だけの、ただ口に含んだけだったが、それでも姉に包まれる様な優しい包容に真宵は次第に千尋の乳首を吸い始めた。 「あんっ……」 真宵の口の中で姉の乳首が微妙に変化しシコり始めると同時に千尋は声を漏らした。 真宵は、そこで姉の乳首から顔を離し千尋の顔を見上げた。千尋の表情は若干蒸気した表情した表情で妹を見つめた。 「おっ、お姉ちゃん……」 熱っぽく見つめてくる姉の姉からの視線に、真宵は千尋の雰囲気が少し変わった事を敏感に感じ取った。 「真宵、今から本番に入るわよ、しっかりと覚えるのよ」 「えっ?」 戸惑う真宵に千尋は実の妹と自らの唇を重ね合わせた。 口づけされた事に、真宵は最初は何をされたのか理解できなかったが、状況が分かるとジタバタと抵抗を始めた。 しかし、千尋は真宵の抵抗に動ずることなく、そのままベッドへと真宵を押し倒した。 背中いっぱいにベッドのスプリングが弾む感触を感じた真宵は、その拍子に口を開いた、そして、その口が開いた瞬間に千尋は真宵の口内に舌を差し込んだ。 (あっ……おっ、お姉ちゃんの舌が……) 真宵の口内に侵入した千尋の舌は、真宵の歯茎や歯の裏を舐め、真宵の舌を探り当てると舌を擦り合わせた。 真宵は自分の口の中で大胆に蠢く姉の舌の感触に、背筋がゾワゾワと這い上がる様な感触を覚え体全体をよじらせて反応した。 「うっ……ううん……うぅぅ……」 姉妹の口づけは一分以上続いた、そして、真宵がくぐもった声を発した時、千尋はようやく妹の唇を解放した。解放すると真宵と千尋の唇の間に煌く糸が引かれた。 「おっ、お姉ちゃん……」 「いい、真宵、何度も言うけど、体を委ねるのよ」 千尋は真宵に言い聞かすと、本格的に妹に対する愛撫を開始した。 真宵の細い首筋から肩胛骨にキスの雨を降らし、耳・首筋・脇の下・乳首などを時間を掛け丹念に舐め尽くす。 そして、ほぼ平行線を描きつつ不思議と弾力を感じさせる真宵の胸に到達すると、千尋は円を描くように舐めながら中心部の可憐な突起を責め始める。 舌で転がしわざとチュッチュッと音を鳴らしては吸い上げ、軽く甘噛みをする。 真宵は、そんな姉からの愛撫に肌を泡立たせ身体を小刻みに震わせては感じている事をしっかりと千尋に伝えた。 「ふあん……」 巧みな姉の愛撫に真宵は初めて声を漏らした。自分の意志とは関わらず漏れた。その声に千尋は顔を上げた。 「フフ……」 真宵の声に千尋は嬉しそうに微笑むと。真宵のお腹に舌を滑らせ臍の下。真宵の下腹部へと体をずらしていった。 「あっ!……やっ、やだ、お姉ちゃん!」 真宵の緩んだ股間に体を割り込ませる千尋。真宵は股を閉じようとしたが、もうすでに遅く、千尋は自分の妹の秘所に視線を降り注がせていた。 真宵の秘所は細く繊細な密毛が若草のように楚々と生え広がり、若草の奥には薄い肉付きの、清純な美しいパールピンクのスリットに透明な蜜がたまっていた。 「みっ、見ないで、お姉ちゃん!」 「フフ、すっかり真宵も成長したわね」 真宵は、姉に自分の最も恥ずかしい場所を観察されている事に火を吹かんばかりの恥ずかしさに襲われては声を張り上げる。 しかし、そんな妹の悲鳴を尻目に千尋は薄い真宵の繊毛を手でサワサワと触り、指に絡めて弄びながらフーッと真宵の恥丘全体に息を吹き掛けた。 「おっ、お姉ちゃん……」 吹きかかる息に体を大きく震わせる真宵。そんな真宵の反応を楽しむ千尋はそっと真宵の未踏の花園に、ついばむように隅々までキスをしていく。 「やっ、やめて、お姉ちゃん、汚い、汚いよ」 「真宵のだから汚くはないわよ」 自分の秘所をついばまれる真宵は恥ずかしさのあまり泣きそうに訴えるが、対照的に千尋は落ち着いた様子で答えては、本格的にクンニリングスを開始した。 「ふぅ…あんっ…」 ザラついた千尋の舌は真宵の閉じた縦筋を、何度もなぞるよう舐め上げた。そして、真宵の滲みわき上がる妹の蜜を舌でかきまぜると、真宵は声を漏らした。 「ふふ……」 漏れ初めた妹の声に千尋は笑みを浮かべた。 そして、両手で妹の花弁をそっと開き、それまで上唇に隠れていたクリっとした肉芽に舌を伸ばした。 「うっ…あっ…あああっ…んっ…」 千尋の愛撫がクリトリスに届いた瞬間、真宵は一際、高く声を出した。 今まで何度か手で自分の秘所に触れる事はあっても、最後は怖くて自慰に至らなかった真宵の秘所に対して千尋は存分に容赦なく肉芽を責め立てた。 「んっ、ああっ……ああんっ…」 意識にもやがかかり、躊躇う事なく声を出し始めた真宵。千尋はそんな妹の肉芽を器用に舌で皮を剥き、唇でつつき唾液をまぶしては吸い上げる。 「んっ、あっ、ああっ!……」 押し迫った快感が意表をつくように真宵の背筋を駆け上がり、真宵、今までで一番、大きな声を出した。 (ああ、気持ちいい…、すごく気持ちいいよ…) 快感が全身を抜けた後、真宵は目尻を濡らしながら自分自身がとろけるような快楽を覚えた。 「どう、真宵?」 真宵が達した事を確認した、千尋は妹の秘所から口を離し感想を尋ねる。 しかし、真宵はどう答えていいか分からず、顔を真っ赤にさせていると、千尋は体を起こし反転させては真宵の目の前に自分のお尻を向け、ちょうどシックスナインの体勢をとった。 「えっ?」 真宵の目の前に迫る千尋の秘所は真宵のそれとはまったく違い、ぷっくりとした恥丘に黒々とした茂み群生し、肉付きの良い花弁に平均よりも大きな肉の芽が突き出ていた。 (こっ、これがお姉ちゃんの……) 常に理知的で凛としたたたずまいを誇る千尋からは想像も付かない淫靡で成熟した秘所。真宵は改めて見る内に、何とも言えない気持ちになりつつ唾を飲み込んだ。 「真宵、私にも、さっき私がしたようにやって見せて」 「えっ」 姉の秘所を目の前にして戸惑う真宵に対して、千尋は舐めるように要求してきた。 真宵は、そんな姉からの要求に更なる戸惑いを覚えたが、自分の意志とは関わらず、体の中にくすぶる快感が、本能的に何かを求めるように真宵はソッと姉の秘所に唇を付けた。 「あん……」 妹の唇が自分の花弁に触れたと同時に千尋は声を出し、そして、モジモジと内股を摺り合わせ、まだ物欲しげな妹の秘所に再び唇を付けた。 それから実の姉妹によるシックスナインはしばらく続けられた。部屋内にピチャピチャと、どちらかともなく粘液の攪乱する音が響き合い、部屋内に綾里姉妹の濃密な香りが満たされた時、ふと、千尋は妹の秘所から唇を離した。 「あっ……」 姉の唇が自分の秘所から離れると同時に真宵は声を出した。 千尋は体を起こしシックスナインの体勢を解くと、真宵に向き直り、ちょうど真宵の頭の上、ベッドの枕元にある引き出しを開いては、ある物を取り出した。 「おっ、お姉ちゃん!……」 ぼんやりとしていた真宵は姉が取り出した物に対して驚きの声を上げた。それは革バンド付き双頭ディルドーだった。 「なっ……なにするの……お姉ちゃん?……」 それまでまどろむような感覚が一気に消し去り、緊張と不安を覚えながら聞く真宵。そんな真宵に対して千尋は真剣な表情で答える。 「今度は、これでするのよ」 「えっ?……」 咄嗟に理解出来ない答えに真宵はジッと千尋の様子を伺った。 千尋は膝立ちの状態でディルドーの先端を妹の健気な愛撫によって濡らされたクレヴァスにあてがう。 「うっ……うん……」 目を閉じディルドーを中に埋め込もうととする千尋。真宵は、そんな姉の光景に悲痛な眼差しを送る。 (ダッ、ダメ……やめて……) 姉の中に男の性器を模した張り型が埋め込まれていく。その光景に真宵は、愛する姉が自分のまったく知らない男を受け入れているかのような連想が思い浮かびあがった。 しかし、しっかりと真宵によって濡れた千尋の秘所は難なくそれを受け入れていった。 「ふう……」 ディルドーを全部埋め込み、ベルトで位置を固定した千尋は息をつき、長い艶やかな髪をかき上げる。すると豊満な胸も、それに合わせてブルンと揺れた。 「真宵、いいわね」 「えっ?」 姉の姿に呆然とショックを受けていた真宵に告げられる言葉。真宵の視線は千尋の股間、姉の中に埋められた張り型の、もう一方を注目した。 「えっ……ウッ、ウソ……わっ、私……」 姉が次に何をしようかと分かった真宵は恐怖で顔を引きつらせ、体を起こしてのけぞろうとした。 しかし、そんな妹の反応を見透かしたかのごとく、千尋は真宵の腕を掴み、自分の体を被せるようにして真宵を押さえつけた。 「おっ、お姉ちゃん!」 姉の体の重みによって押さえつけられる真宵は苦しげに声を出す。 「真宵、私だって本当はしたくないわ。でも、これも真宵の為を思ってしているのよ」 「やっ、やだ、そっ、そんなのやだ、絶対にヤダ!」 姉の諭し言葉に首を振って嫌がる妹。千尋はそんな妹に対して軽く頬を叩いた。 「あっ!」 頬を叩かれた真宵。痛みはまったくなかったが、それでも姉から手を上げられたショックが全身に駆け巡った。 「真宵、自分の体を開く事が出来なければ一生、霊媒は出来ないわよ」 「おっ……お姉ちゃん……」 「それでも、いいの?」 厳しく真宵を見つめる姉の視線。その厳しい視線に真宵は瞳を潤ませ自然にポロポロと涙をこぼれさせた。 「ヤダ……こんなのヤダよ……お姉ちゃん」 「与えられる感覚に体を解放するの、自分の体のすべて開くのよ」 本格的に鳴き始める妹に千尋は構うことなく諭しつづける。 (真宵……) 千尋は、泣きじゃくる妹に対して心の中で躊躇いが生じ胸が突き刺さるような痛みを覚えるが、それでも真宵のこれからの事を思えば、やめる理由にはいかないと再度、決心した。 千尋は固く閉ざした真宵の股を強引に割って入り張り方の先端を真宵のクレバスに押し当てた。 あてがわれた瞬間、真宵は腰を逃そうとするが千尋はがっしりと真宵の腰を掴み逃さなかった。 「おっ、お姉ちゃん……」 「真宵、私の事、好き?」 千尋は妹に対して切なげに質問した。その質問にすぐには答えなかった。だが、いつも大好きな姉の千尋に見つめられる内に真宵はうなづいて答えた。 「私も好きよ、真宵……」 真宵からの返答を受けた千尋はホッと安らいだ笑みを浮かべつつ、真宵の背中に手を回し、体を密着させては、ゆっくりと腰を前に押し出した。 「ああああっ!!」 ディルドーの先端は千尋の腰の動きに合わせて、入口を守っている閉じきった襞が押し広げられ全身を引き裂かれる様な痛みが体中に走り抜けた。 「痛い……痛い……痛いよ!……」 真宵は体をよじりながら千尋の予想以上に激しく痛みを訴えた。 ディルドーはそれほど大きくな物ではなく、一般男子の平均を少し下回るほどの大きさ、そして充分に濡らしたつもりであっても狭隘な真宵の膣は、千尋の張り型を強く阻んでいた。 「真宵」 「痛い、痛いよ、お姉ちゃん」 「真宵、頑張って」 痛がる妹を励ましつつ、真宵の両手を取り、自分の乳房を握らせた。 真宵は挿入の痛みを感じる度に、千尋の豊満な乳房を形がひしゃげるほど強く揉み付ける。 千尋はそんな胸の痛みを感じつつ、慎重に真宵に痛みを与えないよう、数ミリずつ挿入を深めていった。 そして、全部入りきったのを感じると、改めて自分の妹の顔を見つめた。 「痛いよ……お姉ちゃん……」 いつも明るく可愛らしい表情を涙で濡らす真宵。そんな妹の表情に千尋は胸が締め付けられる感触、覚えつつ、優しく穏やかに言った。 「大丈夫よ、真宵、今、ちょうど全部入ったから」 千尋は真宵の頭を撫でては舌で涙を拭う。 そんな姉の優しい仕草に真宵は、いつもの例えようもない安心感を感じた。 「おっ、お姉ちゃん……」 「なに、真宵」 「私、頑張る……お姉ちゃんの為に、だから……」 「真宵……」 それまで泣き顔だった、真宵は表情は涙に濡れながらも強く決心したかのように千尋に向かって力強く言った。そんな真宵の言葉を受けて千尋は妹の健気さに胸が打たれる思いがした。 「いい、動くから、耐えられそうになかったら言うのよ」 「うっ、うん……」 千尋は一切の迷いを拭いさり、ゆっくりと妹の膣の中に埋め込まれたディルドーを律動しはじめ、真宵は必死に歯を食いしばって痛みを堪えた。 予想以上に狭隘な真宵の膣内。ほんの小さな動きでも真宵の膣内はディルドーを強く巻き締めててくるのを千尋はディルドーを通してしっかりと自分の膣で感じつつ腰を振るった。 「……ん……ん……んん」 少しディルドーが動くたびに真宵は首を振り言葉にならない声を漏らす。 そんな真宵の健気な姿に千尋は胸が熱くなるのを覚える中、突然、真宵は大きな声を漏らした。 「あっ、あああ!!」 「真宵!?」 不意、声を張り上げた真宵に対して心配になって声を掛ける千尋。しかし、そんな千尋に対して真宵は首を振って答えた。 「ちっ、違うの……痛いけど……痛いけど……なにか、違うの……」 「真宵……」 千尋は真宵の言葉を受けて、真宵の変化、真宵が感じてきている事を確信した。 「大丈夫よ、真宵、しっかり感じるのよ」 千尋は、そう真宵を安心させつつ、それまでの腰の運動に変化を付け、より大きく、より早く、本格的に腰を動かし始めた。 「んぅっ…… あっ、 あっ、ああぁっ……ふぁっ!」 しなやかな律動が真宵の膣肉を掻き乱しては痛み混じりの快感が波紋のように広がり柔肌を震わす。 そして、ディルドーの先端が真宵の子宮口にまで届くと純粋な快感が背筋を駆け上った。 真宵はほどなくして自然、姉の腰の動きに合わせて自分の腰を振るっていた。 「ああん!……」 声を出したの真宵ではなく千尋の方だった。 千尋もいつしか真宵の狭隘な膣内の奥にある子宮口を突きながら、確実に自らの子宮へと返ってくる反動に次第に我を忘れて抽送運動を速めていく。 二人の姉妹は確実に快感を共有するようになっていた。 「あっ……おっ、お姉ちゃん……何か……来る、きそう!」 真宵は下半身に覚える疼きにも似た充溢感が自分では押さえきれないほど急速に高まる中、必死に姉の名前を呼んだ。 「いっ、いいわよ、真宵……イッ、イキなさい……」 千尋自身、自らの限界までの距離感をはっきりと感じる中、その重量感のある大きな胸を激しく踊り狂わせ、妹の膣内をぐちゃぐちゃにかき回した。 「あっ、あっ、ダメッ、イ、イクッ、イッちゃううぅぅぅっ!!」 「あっ、わ、私も……ああああん!!」 千尋と真宵の二人の姉妹は同時に部屋いっぱいに歓喜の絶叫を重ね合った。 そして、千尋は糸が切れたかのように、脱力して妹の体に身を重ね。真宵は、そんな姉を受け止めるかのように抱きしめた。 千尋と真宵は大きな波が小さな波に変わっていくまでの時間、一緒に感じ合った。そして互いにようやく落ち着くと千尋が口を開いた。 「真宵」 「お姉ちゃん」 「どうだった、真宵、この感覚よ、この感覚が霊媒にとって大切なのよ」 千尋は今回の事、真宵に対して最も伝えたかった事の確認をする。すると真宵は千尋の言葉にいつも見せる可愛らしい笑顔で答えた。 「うん、最初は痛かったけど、凄く気持ちよかった」 「真宵」 分かったような分かってないよう真宵の返答に千尋は少し困った表情を見せつつも、真宵の明るい笑顔を見るうちに千尋も自然に笑みがこぼれた。 「そうね」 千尋はそう言っては真宵の唇と自分の唇を重ね合わせた。
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とある公園で起きた殺人事件。 事件はニュース報道でも大きく取り上げられ、現場付近には報道陣と野次馬がつめかけている。 そんな血なまぐさい殺人現場に全く似つかわしくない黄色い声が、一人の男に絶え間なく浴びせられていた。 ーーその男の名前は、牙琉響也。 ガリューウエーブのリーダーと敏腕検事の二足のわらじを履く彼は、どこにいても目立つ存在であった。 颯爽と事件現場にバイクで現れ、テキパキと現場検証をこなし、帰り際には詰めかけたファンへのサービスも怠らない。 そのスタイリッシュな彼の姿に魅了される女性は、日々増え続ける一方である。 この日も響也は現場検証とファン対応をこなすと、足早にバイクの元へ向かう。 再度ファンに捕まるのを避けるため、手際よくジャケットのポケットからバイクのキーを取り出す。 「すみません」 響也がバイクにキーを差し込もうとしたとき、背後から一人の女の子に声をかけられた。 しまった、と心の中で舌打ちをする。 一人のファンに構ってしまうと、その間に次々とファンは集ってくる。 一瞬、気づかないフリをしてしまおうかと脳裏をよぎるが、ファンを蔑ろにできない響也は咄嗟にファン向けの笑顔を作った。 「ごめんね、サインはまた明日でもー…」 そう言いながら振り向いた目の前に立っていた女の子の姿を見て、響也は少し驚く。 その女の子は響也を取り囲む今時の若い女子高生といった感じとは違う、どちらかといえば古風な姿であったからだ。 年齢は15、6くらいであろうか。 見慣れぬ学校の制服を着て、大きなバッグを小柄な体で精一杯抱え込んでいる。 色素の薄い髪を頭の上でくるりとまとめ、大きな瞳はぱちくりと響也を不思議そうに見ていた。 美人というよりは愛くるしい感じだが、よく見る取り巻きの女子高生とは雰囲気が違う女の子だった。 どこかで見た顔のような気もするが、思い出せない。 「あのー…、道をお尋ねしたいのですが」 響也に凝視された女の子は、少しオドオドした様子で言う。 てっきり自分のファンだと思った響也は、その言葉にきょとんとしてしまう。 有名人である自分に、まさか道を尋ねてくる人がいるなんて最近ではない光景だったからである。 自分も随分と天狗になったものだな、と小さく苦笑する。 「ああ、ごめんね。で、どこに行きたいのかな?お嬢ちゃん」 「成歩堂法律事務所なんですけど、確かこの辺りでしたよね?」 「!」 予想だにしなかった返事だ。 「成歩堂」といえば7年前、自分の手で弁護士バッジを奪った男の名前である。 まさかその名前を、こんな若い女の子の口から聞くことになるなんて予想できるはずもない。 だが、弁護士としての成歩堂龍一はもう存在しない。 法律事務所も、とうの昔に『成歩堂芸能事務所』へと成り代わってしまった。 「成歩堂法律事務所は、もう存在しないよ」 「えっ…えええーーっ!?」 その事実がよほど衝撃だったのか、女の子は抱えていた荷物を地面に落とした。 落としたバッグを全く気にも留めず、ひたすらオロオロしている。 そのリアクションからして、どうやら成歩堂法律事務所に何か重要な用事でもあったのだろう。 女の子が落としたバッグを拾い上げ、パンパンと土を払って手渡す。 「ありがとうございます」 女の子は響也からバッグを受け取ると、両手でギュッと抱え込んだ。 「もう7年も前のことになるんだけどね、知らなかったのかな」 「知りませんでした……。わたくし…ずっと里にこもっていたものですから…」 「里?」 「はい、里で霊媒の修行を。でも真宵さま、成歩堂くんが事務所を閉めたなんて一言も……」 がっくりと肩を落としながら、女の子は小さく呟く。 その言葉を響也は聞き逃さなかった。 彼女が口にした「霊媒」、「真宵」、そして「成歩堂」という単語。 それらのキーワードは昔よく耳にした。 過去に起こった霊媒をトリックとした奇異な事件は、法曹界に身を置くものなら誰もが知っている。 何やら訳アリという感じだが、響也自身には関係のないことだ。 とはいえ、成歩堂龍一から弁護士バッジを奪取した張本人として多少の罪悪感は感じる。 と同時に、女の子の異様なまでの落ち込みようはどうも引っ掛かるものがある。 「厳密に言うとね、成歩堂【弁護士】はもういないんだ。事務所の形跡は残ってるらしいけどね、今や芸能事務所さ」 「芸能事務所!?」 「まぁ話すと長くなるけど、今ではおデコく……いや、新米弁護士と成歩堂龍一の娘が跡を継いでる」 「なっ、な、な、な、成歩堂くんの娘さまっ!?!?」 女の子は全く訳が分からないといった様子で混乱している。 無理もない。その背景には、一言では到底説明できない複雑な理由が渦巻いているのだ。 「というわけで、成歩堂法律事務所は厳密に言うと存在しない。跡地でよければ教えられるけど」 どうする?と、響也はクルクルとバイクのキーを指に引っ掛けて回しながら尋ねる。 「…………」 少しの沈黙のあと、何かを決意したように女の子は俯いていた顔をあげて響也の目をじっと見つめる。 「もしご存知でしたらー…何があったのか教えて頂けないでしょうか?」 その目は真剣だった。 「ぼくに聞くより、直接本人に聞くのが早いんじゃないかい?」 「そ、そうなのですが…そうにもいかなくなりまして…あの…」 「何か聞けない理由があるのかな?」 「…………はい」 気まずそうに頷く姿を見て、響也はやれやれと首を振る。 面倒ごとは御免だが、多少の罪悪感と彼自身の性格の優しさが手伝ってNOとは言えなかった。 腕の時計を見ると、時刻は昼過ぎ。 検事局へ戻るには、まだ時間に余裕がある。 響也はメットインからスペアのメットを取り出すと、女の子へ投げてよこした。 「ここじゃあ色々とマズいから、場所を変えよう。バッグはショルダーで体にかけて、後ろに乗って」 そう言ってバイクの後部座席へと促す。 とその時、遠くから再び黄色い声が上がる。 「キャーーー、響也ァァァァー!!!」 「ガリュー、握手してぇー!!!」 熱烈な追っかけファンたちが、響也めがけて一目散に走ってくる。 「おっと、見つかったか。お嬢ちゃん、早く乗って!」 女の子は急な展開に戸惑うが、「いいから、早くッ!」と急かす響也に言われるままバイクへ股がる。 「オーケイ、しっかり捕まってて!」 エンジンを吹かし、響也は勢いよくバイクを走らせたーーー。 辿り着いた先は、響也の住む高級マンションのラウンジだった。 ここならば誰に邪魔されることもなく、落ち着いて話ができる絶好の場所である。 広々としたラウンジに設けられたソファに腰掛けた女の子は、キョロキョロと辺りを物珍しげに見渡している。 「紅茶でよかった?」 「はい、ありがとうございますっ」 響也は自販機で購入してきた紅茶を女の子に手渡し、次に自分用の缶コーヒーのプルタブを開けた。 「凄いですね、こんな素敵な場所に住んでらっしゃるなんて!」 「こういう場所は初めてかい?」 「はいっ!ソファもふかふかですっ」 よほど気に入ったのか、女の子は嬉しそうにソファの感触を何度も確かめている。 「そういえばお嬢ちゃんの名前をまだ聞いていなかったね」 「わたくし、もうすぐ18ですっ。お嬢ちゃんではありませんっ!」 ぷぅ、と小さく頬を膨らませて怒る様子が微笑ましい。 その可愛らしい主張に思わず響也は小さく笑ってしまうが、レディーは尊重するというのが彼のモットーだ。 「それは失礼、訂正するよ。ぼくは牙琉響也、キミの名前を教えてくれないかな?」 「わたくし、綾里春美と申します」 「綾里…。やっぱり、あの倉院の里の子だったんだね」 「えっ、倉院の里をご存知なんですか!?」 目を大きく見開いて驚く春美。 かれこれ9年前に倉院の里で起きた「外科医師殺人事件」は有名である。 その事件からわずか2年で起きた「童話作家殺人事件」と合わせて、綾里の一族の血は呪われていると 検事局内では今でも語り継がれている話だ。 「そういえば牙琉さんは、何をされてる方なのでしょう?多くの女性から追いかけられておりましたが…」 春美の純粋な質問に思わずガクッとなる。 まさかこの世代で、自分を知らない子がいるなんて思いもしなかった。 「ガリューウエーブって聞いたことないかい?」 「がりゅう…うえいぶ……? それは何かの機械の名前とかでしょうか?」 その答えに再度ガクッとする。 もしかしたら名前だけでもと思ったが、その淡い期待は響也のプライドと共に一瞬で砕かれた。 「いや、知らないならいいんだ…」 「すみません、わたくし横文字は苦手なものでして…」 春美は申し訳なさそうに肩をすぼめる。 ミリオンヒット連発の天下のガリューウエーブも、春美の前では単なる横文字にしか過ぎない。 なんだか調子狂うな…、と響也は苦笑する。 「ぼくは一端の検事さ。同時に音楽業もやっている、と言えば分かってくれるかな?」 見た目が派手なせいか、響也が初対面で検事だと思われることはまずない。 その理由からか、懐から身分証明書を取り出して相手に見せるのがいつしか癖となっていた。 「まぁっ、検事さんだったのですね」 差し出された身分証明書をまじまじと見つめながら、春美は感心したように言う。 「そう、だから成歩堂龍一のことは幾らか知ってる。綾里のことも多少は、ね」 「では成歩堂くんに何があったのか教え…」 「その前に」 響也が春美の言葉を遮る。 「1つ、キミに確認したいことがあるんだけど」 「なんでしょう?」 「キミさ、もしかして…家出少女かい?」 「!!!!」 ビックリした様子で春美は大きく開いた口を手で覆う。 図星ですと言わんばかりの、なんとも分かりやすいリアクションだ。 「…はい、わたくし悪い子です。勝手に里を飛び出てきてしまいました」 今度はしょぼんと項垂れる。 コロコロと変わる春美の表情を面白そうに眺めながら、響也は「やっぱりね」と笑った。 「なぜお分かりになったのです?」 「世間の学生は夏休みに突入したばかり。慣れない土地で大きなバッグを抱えてウロウロする女の子。 行く当てだった場所が、自分の知らぬうちになくなってることを知って狼狽する…。 こんなカードばかり並べられたら、安易に「家出少女」という役が出来てしまうよ」 まるで法廷で被告人を追いつめるかのような調子だ。 「やはり検事さんにはバレてしまうのですね……」 「何か事情があるんだろうけど、仕事柄、家出少女を放っておくワケにもいかなくてね。 尋問のようで悪いけど、どういう経緯で家を飛び出てきたのか聞かせてくれるかい?」 甘いマスクと優しい口調で少しずつ相手ににじり寄っていく手法は、響也の天性の才能だろう。 じりじりと追いつめられた春美は、事情を白状するほかはなかった。 春美の家出事情は、響也が思っていたよりもずっと複雑なものだった。 原因はどうやら、綾里家の血筋問題らしい。 発端は7年前に起こった、倉院流の血縁をめぐる事件。 事件が解決した後、本家の血を継ぐ綾里真宵が倉院流師範代を無事に襲名したという。 すべては終わったかのように思えたが、血の争いというのはそう簡単には円満解決しないもの。 真宵を心から慕う春美は、補佐役として真宵の役に立てるように修行に明け暮れる日々だった。 だが、春美の実母であるキミ子の意思を継ぐ分家のものたちはまだ多い。 分家の血筋でありながらも、真宵よりも高い霊力を持つ春美を倉院流の師範代に就かせたいという願いはもはや執念だ。 「いつか春美さまが師範代になる日が来ますわ」 「真宵さまよりも、春美さまのほうが師範代に相応しい能力を持っていらっしゃるのだから」 まるで洗脳のように言われ続ける言葉と、春美の純粋な気持ちなどお構いなしの修行三昧の日々。 それでも真宵の力になれるなら、と修行に励む春美に転機を与えたのは、他ならない真宵本人であるーーー。 それは偶然の出来事であった。 本家の家に住む真宵を尋ねてきた春美は、真宵の部屋から漏れる会話を思い掛けず立ち聞きしてしまったのだ。 ハッキリと聞こえた、真宵の言葉。 「………だから私、はみちゃんを自分の側に近寄らせたくないの…」 春美は一瞬で頭の中が真っ白になった。 いつも優しく接してくれる、大好きな真宵。 実母のキミ子が手をかけようとしたことに負い目を感じた春美を、笑顔で許してくれた。 だけど本当は自分のことを疎ましく思っていたなんて気づかずもせずに、のうのうと過ごしていたなんて… 自分の能天気さが嫌になる。 気づけば春美は手当り次第に荷物をバッグに詰め込み、逃げるように里を飛び出していた。 滅多に里を出たことがない春美の行くアテは、ただ1つだけーーー。 「で、成歩堂法律事務所を尋ねてきて、今に至るというわけかい」 「…はい」 「勢いだけで飛び出してくるなんて、とんだおてんば娘だねえ」 響也からすれば「家族の揉め事が原因のよくある家出」に分類されるのだが、春美にとっては青天の霹靂である。 「わたくし、真宵さまにとって邪魔な存在なのですね…。 それどころか成歩堂くんが弁護士を辞めていたなんて、更にショックです…」 「…………」 響也の胸がズキリと痛む。 「検事さん、成歩堂くんに一体なにがあったのですかっ?」 響也はソファに深く座りなおすと、ふぅ…、と軽く一息ついた。 真実はこの少女を更に傷つけることになるかもしれない。 だが例えそうなったとしても、真実は曲げられないのだ。 「…法廷でね、彼は捏造した証拠品を提出したんだ。それが原因で弁護士を辞めた」 「えっ……」 「そして彼から弁護士バッジを剥奪したのが、ぼくさ」 「!!!」 衝撃の事実を受け入れることが出来ず、春美は俯き、黙り込んでしまう。 まるで時が止まったかのような、長い沈黙のあと。 華奢な手を力一杯に握りしめながら、春美は声を振り絞る。 「…成歩堂くんが証拠品を捏造だなんて、そんなの嘘ですっ!」 「信じる、信じないはキミの自由さ。でもキミは知りたがった、だからぼくは真実を伝えた」 「で、でもっ!!」 「真実を追求するということは、同時に真実を受け入れる覚悟をするということだよ」 響也にピシャリと指摘され、春美はしゅんとなる。 「…そうですね、申し訳ありません。わたくし、動揺してしまいました」 響也は必要以上のことを春美に語ろうとはしなかった。 「真実は自分の力で追求するからこそ意味がある」というのが信念にあるからだ。 「真実の先には、更なる真実が隠れているものさ。 納得がいくまで追究することをオススメするよ…自分自身の目と、耳でね」 どこか含みのある言い方だった。 春美はこくんと頷くと、「有り難うございました」と丁寧にお辞儀をする。 「それじゃあ、次にキミの家出についてだけど」 話はこれで全て終わったと思っていた矢先に、春美は不意をつかれた。 えっ、と驚く様子の春美などお構いなしに、響也は喋り続ける。 「言っただろ?仕事柄、家出少女を放っておくワケにはいかないって」 「み、見逃してください…」 「ダメだよ」 「うううっ…」 表向きは爽やかな笑顔でも、譲れないことに対して容赦はしないのが響也だ。 春美の願いもアッサリと払いのける。 「家出して成歩堂のところへ行こうとしたものの、予想だにしない展開になっていて行きづらくなった。 しかも自分の信頼する人物から成歩堂に関する話を一切されなかったことがショックで、余計にね。 今の気持ちは、そんなところじゃないかい?」 「!!」 探偵のように春美の心情を推理していく響也。 そしてそれは、恐ろしいほど的確に当たっていた。 「なんで分かるんですかっ?」 「長年培ってきた、カンってやつかな。 で、キミは行く場所がなくなってしまったワケだ。でも家には帰りづらいし、帰りたくない」 「…心が読まれているようで、恐いです」 流石と言うべきか、響也の推理は的を外さない。 けれど彼にとって大事なのはそんなことよりも、家出少女の対処だった。 「聞いた感じだと、家庭内暴力などの問題はないようだね。 今日は警察に泊まって、明日にでも帰れるようにぼくが手続きをとっておくよ。 捜索願が出されてるかもしれないけど、そっちも処理はしておく。 今からぼくが警察まで送っていくからー…」 「お願いしますっ、わたくしを検事さんのお家に置いてくださいっ!!!」 缶コーヒーを口に運ぼうとした響也の手が一瞬止まる。 春美の申し出は予想の範疇にあったが、受け入れるわけにはいかない。 「随分と無理を言ってくれるね」 「無理を言っているのは承知の上です。でも長居はしませんし、迷惑もかけませんから…!」 「いま家に連れ戻されるのだけは回避したい、って?」 「はい」 どうかお願いします、と春美は深々と頭を下げる。 軽い気持ちで言っているのではないことは響也にも分かった。 だがしかし、自分にも立場というものがある。 「キミをかくまうのは立場上、色々とマズいんだよ」 「お願いしますっ、お願いしますっっ」 いくら言っても、春美は食い下がってくる。 どうしてそこまで必死になるのだろうかと不思議に思いながら、響也は缶コーヒーを口に含んだ。 「お金はあまりないですけど…。足りない分はわたくしの体でお支払いしますからっ!」 「ぶはッ!!」 イケメン台無しのごとく、響也は盛大にコーヒーを吹いた。 「なにを言って…」 「掃除に洗濯にお料理、なんでもいたしますっ!」 「…あ、ああ。なんだそういうことか、ぼくはつい…」 「え?」 「いや、なんでもないよ…」 うっかり変な妄想をするところであった。 気を取りなおし、響也は春美に尋ねる。 「ねえ、どうしてそこまで家に帰りたくないんだい?」 「…検事さんが仰っていた、真実の追求をしたいのです。 成歩堂くんのことも、真宵さまのことも…知るのが恐い部分も正直ありますけど… それでも「真実の先に隠された真実」を、自分自身の目と耳で知りたいと思ってます」 「…なるほどね」 どうやら、先ほどの自分のアドバイスが起動力となったらしい。 春美が向けてくる真剣な眼差しは、真実を追究する者の目だった。 響也は、そういう目が好きだ。 真実を知るために、響也は検事になった。弁護士と検事の勝敗よりも、常に真実の追求をしてきた。 それ故に、春美の言い分も痛いほど分かるのだ。 響也は少し考えたのち、1つの決断を出した。 「わかった、とりあえず今日はぼくの家に泊まっていっていい。今日は警察にも引き渡さない。 だけど、ぼくにも1日だけ考えさせてくれ。キミを家に置くかどうかは、また明日返事するよ」 その言葉に、春美はパアッと顔を明るくさせる。 「本当ですかっ、有り難うございますっ!!」 やれやれ、とんだ拾いものをしたもんだ…と響也は思ったが、満面の笑みで喜ぶ春美の姿を見ると拒絶できなくなる。 「今日、成歩堂のところへ行くのかい?」 「…いや、その…今はまだ心の準備が…」 「そう言うと思ったよ。じゃあ部屋に案内するから、着いておいで」 ひょい、と春美の荷物を持ち上げ、響也はエレベーターへ向かって歩き出す。 「あっ、はいっ」 スタスタと歩いていく響也の後ろを、春美は急いで追っていった。 響也は高級マンションの高層階に住んでいる。 モデルルームのような部屋は、春美にとって未知の世界であった。 だだっ広いリビングの窓の外には、都内を一望できる景色が広がっている。 壁にディスプレイされた響也愛蔵のギターコレクションたちを見て、春美は目を輝かせた。 「すごいだろ?ぼくの可愛い恋人たちなんだよ」と自慢げに言う響也に、 春美は「音楽業とは、楽器屋さんのことだったのですね!」と、素でボケをかます。 世間知らずもここまでくると、響也は笑うしかない。 響也の住むマンションは、一人で暮らすには広すぎる物件だった。 そのため部屋は幾つか余っており、ゲストルームという名目になって放置されている。 春美が案内された部屋も、余ってる部屋とは到底信じられないほどに綺麗で広い部屋だ。 「ちゃんと鍵はかけられるから安心しなよ」 「あの、有り難うございます…。無理を聞き入れて下さって、わたくしなんてお礼を言えばいいのか」 春美は今さらモジモジと恐縮している。 あれだけ食い下がった割には謙虚な一面もあるんだな、と思いながら響也は春美に鍵を渡す。 「ぼくは今から職場に戻らなくちゃいけないんだ。何か困ったことがあったら、ここへ電話しておいで」 電話の横に置かれたメモに自身の携帯ナンバーを書き、響也は家を出ていく。 その後ろ姿を見送った春美は、1人になった途端に脱力してその場へとへたり込んでしまった。 勢いでここまできたものの、不安は拭いきれない。 今日は置いてもらえることになったが、明日は帰されてしまうかもしれないのだ。 もしそうなったとしても、その前に成歩堂に会わなければいけない…。 よしっ!、と意気込んで勢いよく立ち上がる。 とりあえず置いてもらったお礼に家事でもしようと辺りを見回すが、掃除も洗濯も必要なさそうなほど 綺麗に整頓されていたし、炊事しようにも冷蔵庫の中には酒か水かつまみしか入っていなかった。 「お仕事、なにもなさそうです…」 タダで居座るのは、なんだか気が引けた。 何か仕事はないかとリビングをうろうろすると、ローテーブルの上に散乱した雑誌や本、書類や楽譜を発見する。 大した仕事ではなさそうだが、せめてそれらを片付けようと春美はテキパキとまとめ始めたのだった。 「これは…?」 その最中、雑誌や楽譜の下から開きっぱなしのファイルが顔をのぞかせていることに気づく。 どうやら新聞や雑誌のスクラップファイルらしい。 普段だったら気にも留めないものだが、春美はどうしてもスクラップされている記事が気になってしまった。 なぜならば、その記事はビリビリに破いたあとにセロハンテープで丁寧に繋ぎ合わせてあったからだ。 いけないと思いつつ、好奇心が勝って記事を読んでしまう。 「ーー!!」 衝撃の文字が春美の目に飛び込んできた。 見出しに書かれていたのは、『有名弁護士、七年越しの殺人計画!!~衝撃の事実』の文字。 それだけで既に嫌な予感はした。しかし、目が離せない。 春美は夢中になって記事を読みあさった。 記事に出てくる「牙琉霧人」の名前は、響也の親族であることは春美にも容易に想像できる。 内容は、牙琉霧人の企てによる殺人事件に焦点を当てた記事。 それ以外の人物…つまり、成歩堂や響也のことについては詳しく触れられていなかった。 ファイルをパラパラと捲ると、過去の牙琉霧人の栄光を讃えた記事らがスクラップされている。 しかし何枚かはやはりビリビリに破かれ、テープで補修されているのだった。 響也にとって、ここは他人に踏み込まれたくない領域だったかもしれない。 本人の知らない所で勝手にその領域へ踏み込んでしまったことを悔やみながら、春美はファイルを閉じたーーー。 一方、そのころ。 検察庁へと戻ってきた響也は、午前に行った現場捜査の報告書を早々にまとめ終え、資料室へと足を運んでいた。 過去の事件の資料を引っ張りだし、読みふける。 2019年、2月7日の「童話作家殺人事件」…ーー綾里の血をめぐった事件である。 記憶にぼんやりと残っていた程度で、響也は内容を詳しくは把握していなかった。 ファイルしてあった「美柳ちなみ」と「葉桜院あやめ」の写真を見て、響也は「ああ、これだったか」と呟いた。 初めて春美を見た時に、どこかで見覚えがある顔だと思ったのだ。 そっくりではないにしろ、半分血が繋がっているせいかどことなく雰囲気が似ている。 どちらにせよ、春美が整った顔立ちをしていることに間違いはない。 だが、事件の内容はそれに反比例して醜いものだった。 資料をめくるたびに、響也は胸くそが悪くなりそうになる。 自身のプライドの為なら、人を殺めることさえも厭わない。 そのためなら、身内だろうがなんだろうが手段遂行のための道具にすぎないのだ。 全くもって下らないプライドだーーー。 響也の頭の中に、実兄である牙琉霧人が浮かび上がる。 彼もまた自身のプライドのために身内を利用し、挙げ句に身を滅ぼした愚かな1人であった。 「クソっ…!」 ダン!!、と拳で壁を思い切り殴りつける。 「ぼくも所詮、あの子と変わらないってことか…。ははっ…」 薄暗い資料室に、響也の乾いた笑い声が吸い込まれるように消えていったー…。 +++++++++++++++++++++++ その日響也は、いつもより早めに帰宅した。 リビングの灯りをつけると、響也お気に入りの広いソファでスヤスヤと気持ち良さそうに寝ている春美の姿が目に入る。 なんとも可愛らしい寝顔だ。 「あ…っ、おかえりなさいませ…」 響也の気配に気づいたのか、春美は眠気眼でのそのそと起き上がる。 「ごめん、起こしちゃった?」 「いえ、そんな…。はしたない格好で申し訳ありません」 「あのさ、キミを置いておくかどうか明日返事するって言ったけど…、今すぐするよ」 突然の展開に、春美は体をビクっとさせた。 そして不安げに、響也の顔を見上げる。心の準備なんて微塵も出来ていなかった。 「最初はやっぱり、キミを置いとくのはよくないかなと思ってたんだ。 でも気が変わった、学校が始まるまでの間ならここにいてくれて構わない」 「えっ……、本当…です…か?」 「本当だよ、嘘じゃない」 はっきりと響也が言い切ると、春美はこれ以上ないほどの笑顔を作る。 「あ、あ、有り難うございますっ!」 「ただし、条件つきだ」 響也が提示した条件は以下の3つだった。 【家にすぐ連絡を入れ、滞在中も定期的に家に連絡をすること】 【親族以外には、牙琉響也の家にいることを内密にすること】 【もし万が一何かあった場合、すぐに家に帰ること】 春美はこれらの条件を快諾するも、響也の心変わりの理由がどうしても分からない。 それを尋ねてみたところ、「さあね、ぼくは気まぐれだから」とだけしか返ってこなかった。 響也の真意は計りかねないが、何はともあれ追い返されないことに春美は心の底から安堵する。 「あ、そうだ。もう1つ条件を言い忘れてた」 思い出したように響也が言う。 「プライベート空間で「検事さん」って呼ぶのは禁止だからね」 続き
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成歩堂×千尋 本当は彼女の前に顔など出せた義理ではなかったかもしれない。 でも僕にも事情があった。ある男に会うために、学部を変更してまでこうして弁護士資格を取ったのだ。 それにあの事件で僕を弁護してくれた千尋さんを、どうしても手伝いたかった。 「よろしくおねがいします」 「よろしくね」 あっけないほど簡単に僕の採用を決めた千尋さんは決して自分からはあの事件のことを口にしなかった。 一度だけ僕のほうから彼女の恋人の容態を尋ねたことがある。 死んでしまったのか、と暗に聞く僕に彼女は「それよりなお悪いわ」とだけ答えた。 冷たい肌を持ちながらもまだ生きている恋人を忘れることも見捨てることもできないのだろう。 とにかくこの事務所は仕事とそれに伴う雑用(僕の仕事だ)がとても多かった。 千尋さんはやるべきこと、やらなければならないことを持っていたが、それ以外にも助けを求める人達のために働いていたからだ。 おかげで法廷デビューを果たしていない僕でも、かなり実践知識を積むことができた。 彼女は僕を帰らせたあとも大抵、遅くまで事務所に残って調べ物をしていた。それが彼女のやらなければならないことだった。 その夜、僕が事務所に引き返したときも古い事件のファイルや様々な記事のスクラップを厳しい顔で見つめていた。 顔を上げて、言葉には出さずにどうしたのと問いかけてくる。僕も口では答えずにただ買ってきたワインを見せた。 この日は千尋さんの手によって僕の無罪が確定し、そして神乃木さんに毒を盛った犯人が確定した日だった。 彼はいまだに目を覚まさない。彼女にとってはお祝いするような日じゃない。それはわかっていたけど… 彼女はいつも張り詰めている。事件は解決したけれど恋人を失った無力感と戦っているといってもよかった。 でも僕は、そんな彼女によって確かに救われた人がいるのだと教えたかったんだ。 「思い出に」 短くそう告げたあと、僕達は一言も言葉を交わさずに杯を交わした。 2杯ずつ飲み干すとボトルがほとんど空になった。 ずっと血色の悪かった千尋さんの肌にもようやく赤みが差してきて、僕はなんだか少しほっとした。 「少しは甘えてください。僕はまだ見習いで、年下で、あなたに救われなきゃ犯罪者になっていた間抜けですけど…それでも一応、男です」 酒に酔った以上に、きっと僕の顔は赤らんでいたと思う。彼女は少し笑って、それから僕の隣に座りなおした。 「それじゃお言葉に甘えさせてもらおうかな?」 千尋さんは俯いて、僕の肩に自分の頭をそっと乗せてきた。小さなため息とともに彼女の悲しみが伝わってきた。 悲しむより先にやることがある、いつもそうやってきた千尋さんに僕は少しでも気を休めて欲しかったんだ。 気がつくと、彼女は両手で僕の襟元を握りしめていた。激情を押し殺すように、あるいは泣くのをこらえるように。 僕は腕を回して千尋さんを抱きしめた。彼女が顔を上げたとき、僕達はお互いに何を望んでいるかがわかり、そのままキスを交わした。 ふたりとも喪失の痛みを知っていた。それは両方とも、死を伴わない喪失だった。 彼女の真の恋人は、ただ眠っていた。そして僕の虚偽の恋人は、死を宣告されてはいたけれどまだ生きていた。 普通の人が刻々、死に近づいているように彼らも死に向かっている。そういう意味では、彼らはまだ生きているといってよかった。 僕は彼女に安らいでほしい一心で、できるだけ優しく唇を押し当て髪を撫でた。 それはほとんど初めての少女に見せる気遣いのようで、年上のそれも成熟した女性に対するものとしてはあまり適切ではなかったかもしれない。 幾度か口付けを重ねたあと、千尋さんが思い切ったように口を開いた。 「お願いがあるの……優しく、しないで」 彼女はこれを、罰のようにして受け入れたいのだとわかった。それは僕の意図とは違っていたので少し気落ちしたが、 毎日のようにビシビシ僕をしごいている彼女をそんなふうに扱ってもいいという提案はとても魅力的に感じた。 僕は頷いて髪を撫で上げていた手を止めた。後ろから髪をひっぱって顔を上向かせると、今度は唇をこじ開けて深くキスをした。 角度を変えて何度も舌を絡ませる長い口付けに、彼女の呼吸が苦しそうなものに変わっていく。 「あ、ぅ…っ、ふぅ……ん!」 彼女のブラウスにかけていた手を僕はとめた。上気した顔で彼女が不思議そうに僕を見上げた。 「自分で脱いでください」 思ったよりも冷たい声で僕は命令していた。 一枚ずつ服を落としていく彼女を、僕はじっと見つめていた。それは彼女の身体をさらに熱くさせるようだった。 とうとう下着だけになった彼女が僕に尋ねる。 「あなたは、そのまま?」 「このままです。さあ全部脱いでください」 白い肉感的な身体が僕の前に晒された。激務も過酷な運命も、彼女の身体を損なうことがなかったことを僕は喜んだ。 スタンドの薄暗い明かりの中で、劣情に溺れた上司と対峙するのは奇妙な気分だったが、とても高ぶるのも事実だ。 千尋さん、と欲望で掠れた声で名前を呼ぶとぴくりと身体を震わせて僕にしなだれかかってきた。 「ひぃ…んッ…あぁ…や、ぁ…ん」 僕は生贄の喉笛に喰らいつき、唾液を啜り、肉を貪った。時々、高く上がる嬌声がますます僕を残酷にさせた。 口の中で硬く尖っている彼女の乳首を甘噛みし、まだ中心に触れていないにも関わらず彼女がひどく感じていることがわかった。 強く苛むほど感度がいい。普段の彼女からは想像できないが、こうした隷属的な性行為が彼女の好みなのだと認めないわけにはいかない。 耳元で次の指令を送ると、彼女は僕のズボンからすでに立ち上がっているものを取り出し咥えこんだ。 亀頭から根元まで上下する彼女の唇の感触があまりにも気持ちかったので、僕は呻き声をあげそうになるのをようやく堪えてできるだけ低い声で話しかけた。 「千尋さんはこんなイヤラシイこともとても上手なんですね」 何か抗議の声を上げようとする女を両手で押さえ込み、さらに深く咥えさせる。 それから片手を彼女の突き上がった尻の間へと伸ばして中心へ滑らせると、たちまち僕の指が愛液に濡らされるのを感じた。 彼女の口の動きに合わせて、僕も秘所へ指を差し入れていく。湿った音が部屋の中を満たす。 指を2本に増やして根元まで挿れて掻き回すと、ついに彼女は肉棒を口から放し啜り泣く様な喘ぎ声を上げはじめた。 たっぷりとその声を愉しんでからそこから指を引き抜き、後方への侵入を試みた。濡れて潤滑な指がたちどころに内部へ飲み込まれていく。 「!!…イ、ヤぁ…っ!そんなトコ、だ…め…!」 「こっちは初めてですか?そんなにイヤ?」 ぐりぐりと腸壁を抉るように動かすと、物も言えない彼女は指を強く締め付けて応えた。 指を勢いよく引き抜くと、ぐぽっという音がした。 「それじゃあ、両方とも可愛がってあげましょう。きっと気に入りますよ」 僕は彼女の後ろには親指を、前には他の2本の指を差し入れた。 輪を作って中で指を擦り合わせると、彼女は身体を引き攣らせて絶頂に達した。 手首全体を掴むようにして動かせば、バックで挿入されているかのように腰を高く振って応えた。 彼女を上に跨らせ、僕は内部へ押し入っていく。 挿れられただけで蕩けるような顔で僕を見る千尋さんに、もっと感じてほしくて夢中で下から突き上げた。 ぎゅうっと締め付けられる感覚が、僕を襲う。見上げると彼女の目から涙が流れていた。 彼女は僕を抱きしめ、小さな声で「ありがとう、なるほど君」と言った。 千尋さんはきっと恋人が倒れてからも泣くよりほかにすることがあるからと、ずっとこんなふうに泣いたことがなかったに違いない。 僕はまだ硬度を保っていた。彼女の体つきと僕の年齢を考慮するとこれはほとんど驚くべきことだ。 身体だけじゃなく心も、もっと解放してほしくて僕は囁いた。 「もっと、泣かせたい」 体勢を変え、彼女を下に組み伏せて片足を抱え上げた。 僕は彼女とひとつになれるくらい、奥まで何度も自分を打ち付けた。 彼女は快楽の中でさらに多くの涙を流し、それは痛ましくも美しい姿だと僕には思えた。 「その一度だけだったよ、僕と彼女は。このことは真宵ちゃんも知らない。もちろん、今も生きている彼女の恋人も。 いや、生きていたというべきかな。もう彼は、昔とは姿も名前も違うのだから」 そして僕を真に愛してくれたあの恋人も、いまや生きてはいないのだ。あやめさんのことを、ちぃちゃんとはもう呼べないからね。 僕は心の中で付け加えた。 目の前の男は少し混乱しているようだったが、気を落ち着けるとようやく口を開いた。 「しかし…君は真宵くんのことを」 僕は息をひとつ吐くと、御剣を正面から見つめて答えた。 「確かに、おまえが考えてるように僕は真宵ちゃんにある種の感情と、責任を感じている。つまり、兄のようなという意味だけど」 御剣はいまや着ている服と同じくらい顔を紅く染めていた。 「それでは、かまわないのだろうか?その、私が…」 「もちろんだよ!真宵ちゃんを幸せにしてやれよな」 もれなく付いてくる春美ちゃん込みでの新婚生活はなかなか大変だろうけど頑張れよ、とこれは独り言。 僕は窓の外を見ながら考える。僕達が失った大切な人たちは、本当には失われていないのだと。 霊媒に頼らずとも、僕は千尋さんをありありと思い出すことができる。法廷やこの事務所の中で、あるいは彼女の妹の中に。 そして夏から春にかけての短い幸福な思い出の中で、僕は恋人だった可憐な少女のことを思い起こした。 拘置所での面会の手続きに必要な書類を書くために僕は机に向かった。そうだ、彼女はまだ生きている。 彼女の本当の名前を呼んだとき意地悪な姉の掛けた魔法は解け、僕の恋人は鮮やかにその命を取り戻すに違いないのだ。
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御剣×冥+矢張(エロ無し) 俺は偶然にも目撃してしまった。 見るつもりなんて、全くもってこれっぽっちもありはしなかった。 だが、ここ最近怪しいとは思ってたんだ。 あの天才検事と呼ばれている2人が、実は付き合ってるんじゃないかって・・・! 「メイ・・・」 「バカ・・こんな所で・・・」 だからって、よりによってオレの仕事場(公園)でいちゃついてんなよっ!! くそ、御剣のヤツ。親友だと思ってたのに。 オレなんかいつも忙しい彼女と、もう3ヶ月も会ってないんだぞ!? 顔良し、頭良し、しかも金持ち(たぶん)な上に彼女まで居るなんて、そんなことが許されてなるものかぁぁ!!!! ちくしょう!かくなる上は・・・ い や が ら せ し て や る 。 迅速なオレはさっそく行動に出た。 敵を知るにはまず正確なデータを集めなければならない。 そして証拠品を入手し、正々堂々とヤツの弱点を突くのだ! くっ、オレってばさすがだぜ・・・。 しばらく後をつけて様子をうかがうと、なんと奴らは御剣のマンションへ入っていった!もちろん二人で! ガッデーーームッ!!!! 御剣のヤツ、オクテな顔してもうそんな仲に持ち込んでいようとは・・・! オレは待った。朝が来るのを。 11月の空の下、風にも負けず雨にも負けず・・・! むっ、出てきたぞ!どうやら今日は彼女の方だけらしい。 ふふふ、敵と直接接触をはかるなどシロウトの考えだからな。寧ろ好都合だ。 オレに尾行されているとも知らず、彼女は自宅に向かう。 たしか、狩魔冥とかいったかな。昼間からムチを振り回す危ない女だ。 なるほど、御剣はそういう趣味があったのか・・・これは使えるぞ!(激しく誤解 そんなワケで、オレはとにかくこの一週間、狩魔冥について徹底的に調べ上げた。 家を出る時間に帰宅時間、寄り道コースなんてもちろんのこと。 郵便受けから電話料金表も抜き取った。ゴミ袋の中だってしっかり漁った。(変態 しかし、こうしてよく見るとあのメイって子、結構かわいいんだよな・・・ポッ 寝起きの声とか(早朝イタ電)風呂上がりの身体とか。(覗き見。ていうか犯罪) 今ならオレは、御剣が彼女に夢中になるのもわかる気がする。 ああっ、なんで彼女は御剣なんかと恋仲(古めかしい言い方)なんだっ!! オレはもう、してはいけない禁断の恋に目覚めてしまったというのに! 親友(自称)の恋人を愛してしまったオレ・・・ドラマみたいだ。 メイが好きだあああああああっっっっっ!!!!!(ヤパーリスパーク よしっ、明日からはメイちゃんに近づいて、オレのイイところをいっぱいアピールしよう! このデーターというデーターを生かしつつ、精一杯優しくするんだ!御剣なんかに負けるもんか!! ああ、なんて健気なオレ。自分でも涙が出るぜっ。クッ・・・。 待っててくれっ、メイちゃーーーーん!!!!! その頃・・・ 「ねえ・・・何か最近、変な視線を感じるの。なんか付けられてるような・・・」 「ム!本当かそれは」 「ええ・・料金表とか盗られてるみたいだし、毎日のようにイタ電が・・」 「何だとっ?そんなところに一人でいるなんて危険だ。しばらくは・・その、私の家に居るといいだろう」 「えっ?でもそんな簡単に・・・大丈夫なの?」 「うム。こちらは問題ない。・・・キミさえよければいつまででも居るといい」 「レイジ・・・」 メイは嬉しそうに微笑むと御剣の首へ腕を絡ませ、御剣はその背をそっと引き寄せる。 そうして二人は、甘い口付けを交した。 あとがき ヤパーリタンのおかげでミツメイの愛が深まるお話ですた。 エロくないので逝ってきます。
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巌徒とちなみで真宵を凌辱 ここまでの流れに触発されて投下。 ちなみが現世にいる理由とか局長がシャバにいる理由とかはスルーの方向で。 ***** 室内に、涙混じりの掠れた悲鳴が響いている。声が途切れ途切れでしかも泣きじゃくる 少女の年齢からすると疑問に思うほど濁っているのは、ひとつには散々酷使した喉がとう に潰れていたからで、もうひとつには犯される身体に大きな声を出すだけの体力が残って いないからだった。 少女は犯されていた。 揺すぶられる度ぎしぎし鳴る安物のベッドの上で、身ひとつで男に跨り、そそり立つ 剛直を未成熟な性器で咥えこむことを強要されていた。「う、えっ、ひっ、ぐ」ベッドが 軋む。後ろ手に拘束された手首が軋む。割り開かれ、黒の革手袋を嵌めた男の手に押さえ つけられる、華奢な太腿の間。薄い茂みの奥。信じ難いほど、また痛々しく拡がりきった “孔”が。男性器をナカにかろうじて呑み込んだ場所が、肉と粘膜とを擦らせ軋む。僅か ばかりの慈悲に、もしくは挿入時の抵抗を緩和する目的で垂らされた潤滑液も、少女と男 の体格差では大して機能しているとは見えなかった。オーバーサイズの質量に、骨自体が 軋んでいるのではと思わせるほどの有様だ。 くす、と。凌辱の場には不釣り合いな笑い声がする。 ベッドが軋む。ごく小さな、体重の軽い人間がそっと乗った時の音。 少女の真っ赤になった目が大きく見開かれる。ぱくぱくと開閉する口からひゅうひゅう 息が洩れる。黒い瞳に苦痛とは別の色が表れる──恐怖、と、「ふふ、」──快楽。 小柄な少女に華奢な腕が絡みつく。 白い手。 冷たい指がじっとり汗を滲ませる乳房を這い、小ぶりなそれを下からすくいあげる仕草 で愛撫する。少女は動けない。長い黒髪を貼りつかせた首筋へ、冷たい吐息がかかる。 反射的に身体が跳ねる。上半身は思い通りに。下半身は、「い──ぎっ!」押さえつけ られた下半身は、ナカの違う場所を抉らせ、新しい痛みと圧迫感を少女に与えた。 くすくすと。柔らかな笑い声が、耳元を這う。甘噛みされる耳朶からの感触に、硬く しこった乳首への刺激に、少女はその度反応し、その都度ナカを削られ喘ぐ。 「すごいですわね」 指が。乳房を離れ、肉付きの薄い腹を辿り、 「ココ。ほら、こんなに拡がっておしまいですわよ」 「ひゃ、ひゃめてええっ!」 ひくひく痙攣する花芯を挟んで愛撫した時が、最も反応が激しかった。 膣も収縮し、咥えこんだ肉に押し返され激痛を与えられたはずだが、執拗に蠢く指から の鋭い刺激が痛覚を灼き、「あ、ぎ、あ、」少女の脳は痛いのと気持ち好いのと気持ち好 過ぎて痛いのと痛いのにキモチイイのとを仕分け出来ずに、 「あ、あ、」 結果。 「ああああああッ!」 潰れた喉から搾り出すような泣き声を上げ、絶頂を迎えた。 ひくつく身体が背後からやわらかく抱きとめられる。熱のこもる少女には、触れる肌は ぞっとするほど冷たい。 笑い声──嘲笑。 少女は絡む腕から逃れようと身をよじらせ、「ひぐうっ?!」絶頂を迎えたばかりで 敏感になった場所を突き上げられ仰け反る。奥を抉る、ごりごりという不吉な感触も。 緩み、より深くまで受け入れるようになった自分の身体も、少女を怯えさせるには充分 だったが。何より恐ろしいのは、 「ひ──あ、は──あ──」 それが、痛みか快楽か、区別がつかなくなりつつあることだ。 少女の変化に、後ろから抱きつく女はくすくす笑う。 華奢で愛らしい容貌の、少女よりは幾らか年嵩の女だ。透けるように白い肌といかにも 触り心地のよさそうな茶色の髪が、淡い照明に輝いている。見た目だけなら絵画の天使か 妖精か、といった風情の女。 「最初はあんなに痛がっていらしたのに、だいぶ慣れましたわね?」 妖精、がより近いかもしれない。 無邪気に、残酷に、人間を傷つけ貶める、ニンゲンとは別の理論で動くモノ。 「ねえ、綾里真宵」 女はじわりと小さな背中にもたれかかる。後ろから押され、結合が深くなる。少女が 喘ぎ、女は笑い、 「……で。盛り上がってるトコロ、ワルいんだけど」 半ば蚊帳の外に置かれていた男は、呆れたように声を掛けた。狭い場所を割く剛直は 全く萎える気配を見せていない。 「もう、動くよ。ソロソロ飽きてきちゃったし」 男の言葉に、少女が、ひ、と微かな悲鳴を洩らし、背後の女は微笑んで、 「お待たせしましたわ、おじさま。お手伝いしますわね」 「手伝い。ねえ」 「ふふ──お楽しみなさってくださいね」 がたがた震える少女の身体を、白い手が撫ぜる。「綾里真宵。アンタもね?」 「い──」 拒否、だったのだろう。おそらくは。声は意味を成す前に絶叫へ変わる。声量が足りず とも、途中で呼吸も出来ずに切れたとしても、それは確かに悲鳴だった。 女が笑う。嬉しげに、楽しげに。 手にするディルドーがみちみち音を立て少女の後孔を押し広げてゆくさまを、哂う。 「あら、足りないかしら? おじさまのより、小さいものね」 一人を受け入れるにも小さすぎる身体に二本目を捻じ入れる。少女はもう痛いだの痛く ないだのを感じる余裕もないのだろう、白目を剥いて喘いでいる。意識があるのがいっそ 不思議だった。 前の孔を貫く男が、イヤそうに眉をしかめる。 後ろから圧迫せずとも締まりは充分、なのに余計な手を加えられた上、跨る少女の顔が 些か見目良くないことに──自分の手でその状態にしたのならともかく、だ──なって いるのだ。無理もあるまい。 女は愛らしく、機嫌をとるように小首を傾げ。白い繊手を今度は少女と男の結合部へと 這わせた。繊細な指先が、ぬるりと熱い粘液を絡め取る。ぎちぎちに咥えこんで余裕の ないソコを一通り愛撫し、剛直の付け根、陰嚢と、ほどよくぬめった指で撫でる。奉仕に 男は表情を緩め、 「ちなみちゃん。上手いね」 「ふふ。おじさまも、お素敵ですわよ」 前後から貫かれる少女を間に、二人は視線を合わせ。微笑み。 この下らない遣り取りの空疎さを互いに嘲笑う。 ぎしぎしとベッドが軋む。激しく突き上げられて、少女の小柄な身体も軋む。汗まみれ の華奢な背中が、女の眼前で歪んで軋む。 男が少女の腰を抱え固定したのをいいことに、女は後孔と結合部を責める作業に没頭 する。男の動きに極力合わせ、ディルドーを奥へと送り込む。前半は主に女が楽しんだ。 ここからの“お楽しみ”は譲ってやっても良いだろう。 耳に心地好い軋みと悲鳴を聞きながら、女は微笑む。 悲鳴に狂ったような甘さが混じり始めるのを、手にとろつく体液がぼたぼた垂れてくる のを。忌々しい女の妹が、狂うのを。彼女は愉しみ。 「分かってるわよね」 よがる耳元で、囁く。 「気絶なんかしたら──大事なお姉さまが、アンタに霊媒されて、今度は、大好きな姉が アンタの代わりに犯されるわよ」 外側を愛撫する指先に射精の気配を感じ、ディルドーを、引き、硬直する身体へ勢い よく突き入れる。 「ひ」 二箇所の最奥を抉られた綾里真宵が「い──ぐ、あああッ!」涎を垂らし仰け反り、中 に精を注がれるのを見。 ──少女でも男でも女でもない。第四の人物の絶叫を、聴覚でない聴覚で聞き。 ちなみは弾けるように哄笑した。 この部屋も引き払い時だ。そう言った男の言葉に、ちなみは素直に従う。元警察関係者 の男の行動は的確で、血眼になって真宵と現在ちなみの依り代となっている綾里春美を 探しているであろう連中を出し抜き続けている。曰く「ボクは犯罪のシロウトだけど。 犯罪捜査はプロだからね。ドコを見て、ドコを見ないか、分かるんだよ」だそうだ。 ちなみには興味のない話だった。 ちなみには、男が巌徒海慈という名の犯罪者であることも、男のそれまでの経歴も、 どうでもよいことだった。 重要なのは、彼とちなみには共通の復讐相手がいて、協力すると都合が良いこと。それ だけだ。 巌徒から車のキーを受け取り、「それじゃ。次の部屋。手筈通りに」頷く。 「ナルホドちゃん、連れてきてあげてよ」 「ええ、お任せくださいませ」 ぎらつく巌徒の目を見ながら、“リュウちゃん”は一体何をやらかしてこの厄介な男の 恨みを買ったのだろう、と、ふと考える。そしてどうでもいいことだったので考えるのを 止めた。 重要なのは、互いの復讐に、互いが役に立つこと。それだけだ。 出立の前、ちなみは優雅な足取りでベッドに近づく。虚ろな、しかし意識を保ったまま の真宵の頬に触れ、囁く。 「今から成歩堂龍一をお連れしてきますわね」 「……なるほど、くん……」 虚ろに名を繰り返す、真宵の視線は虚空を彷徨う。 「きっとあなたにお会いたがっているでしょうから、お喜びになりますわよ」 「なるほどくん」 「でも、少しお可哀そう。……ほら、おじさまと比べると、大抵の殿方はお自信を喪失 してしまわれるでしょう?」 笑みに嘲弄を含ませ、目線で、汚れたまま閉じきらない場所を弄る。 ぼろぼろと。大きな瞳から、涙が零れる。血の気のない唇から壊れたように同じ名前が 何度も零れる。 ちなみは満足げに髪をかきあげ、踵を返し、巌徒へと微笑んだ。 「いってまいりますわね、おじさま」 「いってらっしゃい。頑張って。ね」 この男は早晩ちなみを裏切るだろう。そうでなければ、ちなみが巌徒を切り捨てる。 何時までもは逃げられない。この復讐にはタイムリミットが存在する。そのリミットを 少しでも長引かせるためならば。復讐を少しでも確実に行うためならば、ちなみも巌徒も 互いを躊躇いなく捨てる。アトは、どちらが先かという問題だけだ。 どちらにせよ。この復讐に、ちなみは敗北する。 真宵も春美も成歩堂龍一も──こちらは巌徒次第だが──生きて、元の生活に戻る。 ちなみも戻る。十三階段の先を、法廷での魂を切り裂く苦痛を。“死”を、再度迎え、 冷たく暗い世界へ戻る。 (そう。アタシは戻る) 春美の身体を、霊力を使い、ちなみは感じる。復讐の相手の存在を。その絶望を。 (戻って──壊れて生き続けるアンタの大事な人間を、見るのよ) 「綾里千尋。アンタと一緒に。アンタと同じ場所で、ね」 続き
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喫茶店シリーズ#4 -#1 -#2 -#3 -#5 『喫茶店の人々』 #4 貸切で深夜営業中の喫茶店が、にぎわっていた。 「じゃ、みぬき嬢の新しい魔術の成功を祝って、乾杯!」 牙琉響也が、腰に手を当ててキザにコーラを掲げた。 なんでオマエが仕切るんだよ、というその場の全員の心の中のツッコミが聞こえたような気がしたが、それが発せられることはなかった。 その夜、みぬきが新作『ハイパーぼうしくん』を初披露する、というので茜に招待された響也は、同じ「ステージに立つ者」として見に行く気になった。 ステージ終了後、他の面々と一緒に誰が言うともなくいつもの喫茶店へ場所を移し、閉店しようとしていた店を無理やり借り切る。 コーヒー以外メニューがない店に宅配ピザを取り寄せ、サラダやチキンと一緒に並べたテーブルを囲んだ。 今日の主役のみぬきが、響也の隣であれこれと食べ物を取り分けていた。 テーブルの食事に群がっているのは、みぬきとマネージャーの霧緒、王泥喜と茜。 カウンターの向こうには、コーヒーを飲むマスター、向き合って座っているのが成歩堂、一つ椅子を空けて御剣。 「皆さん忙しいのに、みぬきの魔術を見に来てくれて、ありがとうございましたっ」 みぬきが何度目かの礼を言って、『ハイパーぼうしクン』を披露した。 響也がグラスを置いて手を叩き、テーブル席は大喝采となった。 「コーラで泥酔してるな、あいつら」 呆れ顔でマスターが言うのが聞こえたが、気にしない。 日常の緊張から解かれたかのように、まだ十分若者の域を出ない彼らは陽気にはしゃいでいた。 各自がピザを一切れずつ平らげた頃、店の前にタクシーの止まる音がしてドアが開き、遅れてきた冥が両手一杯の差し入れとともにまた大きな歓声で迎えられた。 そして、小さなピンクと黄色のブーケをみぬきに手渡す。 「見に行けなくてごめんなさい。『ハイパーぼうしクン』成功、おめでとう。みぬき」 「ありがとう、冥さん!」 嬉しそうに、みぬきがブーケに顔を寄せて香りを楽しんだ。 「まあ、素敵なお花ですね」 保護者のごとくみぬきに寄り添っていた霧緒が、ブーケを覗き込む。 「冥さんはセンスがいいわ」 「・・・ありがとう」 そう答えた冥がやや屈託していたように見えたが、響也は先輩に余計なことは聞かないことにした。 ただ、霧緒の隣に腰を下ろして勧められるままにサラダのカップを手に取り、なにか言われて笑っている冥を見た成歩堂がつぶやいたのは、聞こえた。 「オンナって、コワイかも」 それを聞き逃さなかったマスターが、身を乗り出すようにして言ったのも。 「今頃気づいたのかい、アンタ」 差し入れのお礼にと、そこでまたみぬきが『ハイパーぼうしクン』をやってみせる。 成功にますます機嫌を良くしたみぬきは興奮気味に、茜の切り分けている差し入れのフルーツケーキを覗き込んだ。 「あ、茜さん、みぬき、イチゴのとこがいいです!」 「はいはい、みぬきちゃんはイチゴね。王泥喜くんもイチゴでしょ?」 三角形のフルーツケーキの乗った皿を受け取ったみぬきの肩に、響也が手を置いた。 「おっと刑事クン、ぼくもイチゴ」 茜が冷たく言う。 「もうイチゴはありません。牙琉検事はバナナで」 不満そうに口をとがらせた響也に、みぬきが自分のケーキからイチゴをつまんだ。 「あげましょうか、牙琉さん」 響也の口にイチゴを押し込む。 くるくると丸い目が、響也を見上げていた。 「むぐ・・・。あ、ありがとう」 見上げたまま、指についたクリームを舐めるみぬきに、響也は違和感を覚えた。 この子が王泥喜と一緒にいるところを何度も見ているし、この店で宿題をしているところに出くわして、教えてやったこともある。 さっきステージに立っているのを見たときも、けっこうちゃんとやるんだなと思っただけで、こんな違和感はなかった。 その違和感を自分の中に探しながら、響也はなにげなくケーキの上のイチゴに手を伸ばした。 「あああっ!」 みぬきが叫ぶ。 「ひどい、牙琉さんがみぬきのイチゴ、食べちゃいました!!」 イチゴのなくなったケーキの皿を持って抗議され、響也が両手を上げて降参した。 「あ、ごめん、つい。そんなに怒るとは」 みぬきの今の言い方には、先ほど感じた違和感がない。 「大人げないです!人のイチゴ盗るなんて」 本気でくってかかるみぬきに、響也がカウンター席の成歩堂に助けを求めた。 「ちょっと、なんとか言ってくれないか弁護士さん!」 成歩堂は振り返りさえしなかった。横で御剣が眉間にシワを寄せてコーヒーを飲んでいる。 「窃盗で訴えられたら、弁護してあげましょうか」 響也の背中をポンポンと叩いて、王泥喜『弁護士』が笑顔で助けを差し伸べる。 「じゃあ、検察側は私が」 真顔で冥が言い、王泥喜が響也をまねて降参した。 「まちがいなく有罪です、牙琉さん」 みぬきが笑って響也の腕にからみついた。 また、違和感。 腕から伝わる暖かさと柔らかさ、みぬきの笑顔。 「な、成歩堂さん、顔、顔!」 イチゴを守るように皿を持ってカウンター席に戻った王泥喜が、ものすごい渋顔で響也を睨みつけている成歩堂の腕をつついていた。 「むぅ、ぼくはみぬきの相手に牙琉くんはどうかと思うよ、王泥喜くん」 「・・・し、心配しすぎですよ。たぶん」 聞こえてるよ、オデコくん。 響也がため息をついて、みぬきの頭にそっと手を乗せた。 閑静な住宅街でいつまでも続く大騒ぎに、無責任な責任者はクックッと笑いながら、マスクの奥から楽しげに店の中を見ていた。 仕事を終えた牙琉響也が、バイクで検事局を出る。 しばらく走ると、制服姿のみぬきがショップのウィンドウを覗き込んでいるのに通りかかった。 見ているのは、季節には少し早い冬物のバッグ。 バイクを止め、ヘルメットを取って声をかける。 「寄り道はいけないな。魔術師さん」 ぱっとふりむいたみぬきが、跳ねるように響也に駆け寄る。 「牙琉さん、こんにちは」 「なにを見ていたんだい、パパにおねだり?」 みぬきはぺろっと小さく舌を出した。 「親孝行ですよ。パパはみぬきがおねだりするのが嬉しいんです」 やれやれ、と肩をすくめた響也の前で、みぬきはちょっと唇をとがらせた。 その表情が、意外にかわいい。 齢相応のしぐさの中に、ふっと以前感じた違和感を思い出す。 「でも、パパは最近元気ないんですよね。ショーシン、なんだって」 首を傾げて、響也を見上げた。 「ショーシン?」 見上げた目が、真剣だった。 「はい。みぬきはまだ、ママがいなくてもいいよね、って」 その言葉を、響也は頭の中でめぐらしてみる。 「ああ、傷心、か。ま、キミのパパもいろいろあるんだね」 成歩堂が誰に“傷心”させられたのか。 それは追及しないことにしよう。 「だから、みぬき早く大人になってパパを助けてあげたいんですよ」 「・・・それは、立派なことだね」 顔つきはまだまだ子供っぽく見えるが、考え方はしっかりしているのかもしれない。 「あ、牙琉さん、笑ってる。みぬき、もう一人前の魔術師なんですからね。『ハイパーぼうしクン』も好評だし」 制服の胸をそらせると、意外とちゃんとした盛り上がりが見え、響也はつい目をそらした。 ・・・なんだ。 かわいいじゃないか。 まったくの子供だと思っていたみぬきの意外な面に、響也は興味をそそられた。 「いや、まだまだ子供だよ。パパ、パパって言っているうちはね」 軽く、挑発してみる。 「うーん」 みぬきは人差し指をほっぺたに当てて、首をかしげる。 その細い指で、口にイチゴを押し込まれた感触を思い出した。 まずい。 本当に、かわいい。 ヤバイことをしてしまいそうだ。 響也は腰に片手を当てて体をかがめ、みぬきの頭に手を乗せて顔を覗き込んだ。 「・・・どうしたらオトナになれるか、教えて欲しい?」 肯定されるとは、本気で思っていなかった。 「どうするんですか?」 牙琉響也のマンションで、みぬきはギターやアンプがぎっしり並べられた部屋を見回して聞いた。 「そうだね。まず、たしなみとしてはシャワーかな」 「はいっ」 元気が良すぎるのも、ムードがない。 「洗ってあげようか」 いたずらっぽく言うと、みぬきは赤面した。 「やだ、牙琉さんのえっち」 「なんだい、もっとえっちなことしようとしてるくせに」 みぬきは両手で頬をおさえ、響也が教えたバスルームに飛び込む。 なにをどこまで知っているのか、みぬきはあっという間に体にバスタオルを巻きつけて出てくる。 「たしなみは、これでいいですか?」 「ああ、オーケイだ。じゃあ、そこで待っておいで」 指さしたベッドの上に、ぴょんと飛び乗る。 スプリングを確かめるように跳ねたり、手触りのいいシルクのシーツに頬ずりしていると、響也がバスローブ姿でやってきた。 「あ、牙琉さんもたしなみオーケイですね?」 その言い方に、響也が苦笑した。 「さあ、どうすると思う?」 みぬきの座り込んでいるベッドの端に腰掛けて、その小さな顎に指をかけた。 「どうするんですか?」 「たしなみとしては・・・、まず、キスだよ」 みぬきの唇がふさがれた。 暖かいものが押し付けられ、なにかが唇を割る。 その何かが押し込んでくる。 「んふ・・・っ」 息苦しさにみぬきが大きく口を開けた。 「はあっ、息ができないかと思いました」 響也が笑う。 「息ができるようになると、オトナかな」 「うー、みぬき、まだ子供なのかも」 「じゃあ、そこに寝て」 みぬきがベッドに仰向けになると、響也はバスタオルをはずした。 小さな乳房と、ささやかな茂み。 「うん、いいね」 脚の間に、手を差し込む。 「ここを、オトナにしてあげるよ」 「・・・どうするんですか」 本当に知らないのか、知らないふりをしているのか。 すぐに、わかるさ。 響也はバスローブを脱いでみぬきの上にまたがった。 「でもまだ、ぼくは準備が出来ていない。手伝ってもらわないと」 「みぬきが?」 「そう。口を開けて」 みぬきが恐る恐る口の中に、響也を含んだ。 「ん・・・、んむ・・・」 「歯を立てないで。舐めてごらん」 「・・・ん」 やはり、なにも知らないわけではなさそうだ。 「う、ぐ、む・・・、がりゅうひゃんの、これ・・・、む、お、おっきくなってきました」 「そう、いいよ。大きくなったら、ここに入れるからね」 「そんなとこ・・・」 響也はみぬきの口から己を抜くと、華奢な体を裏返した。 「そんなとこに、だよ。でもその前に、キミも準備をしなきゃ。初めてだと、特に念入りにね」 「準備?」 うつぶせたまま、みぬきが聞く。 響也はそれに応えず、ベッドサイドの引き出しから何かを取り出した。 低いモーター音がして、みぬきはきゃっと体をそらした。 「な、なんですか?」 「だいじょうぶ、そのままで」 小さなローターが、弱い振動でみぬきの背骨をなぞった。 ゆっくり上下し、肩と耳の後ろをなぞり、脇の下へ移動する。 「く、くすぐったいです」 「ガマンして。準備だから」 ローターが下がり、みぬきのお尻の間に挟みこまれる。 「う、うう。くすぐったい・・・」 響也は腰から手を回しいれて、みぬきの小さな胸を下から両手で包み込んだ。 「ここも、くすぐったい?」 胸を触られて、みぬきは頬を染める。 「な、なんだか変な感じ」 「うん、それはいいね」 ゆっくり胸をもまれ、下半身にはゆるい振動が続いている。 みぬきは次第に息を乱した。 「あ、やっぱり変です、牙琉さん」 響也はみぬきの体をもう一度ひっくりかえし、仰向けにしてローターを抜き取ると、今度は前から押し当てる。 「きゃっ」 脚を閉じたまま、割れ目を上下するとみぬきが声を上げた。 「さあ、自分で胸を触ってごらん」 「・・・こうですか」 みぬきの両手が、自分の乳房を覆った。 「そのまま、下から上に。そう、動かして。どうだい?」 「あ・・・ううん・・・」 「くすぐったい?」 「くすぐ・・・ったく、ないです」 「じゃあ、乳首をつまんでみて。そう、すり合わせるみたいに。もっと」 「あ・・・、なんですか、これ・・・」 はあ、と息をついて、みぬきは自分の両手で乳首をこする。 小さな突起は硬く尖ってくる。 ローターの振動を、強くする。 脚を開かせて、表面をそっと上下していたもので中をくすぐる。 濡れ始めていたそこは、ぬるっとローターを受け入れた。 「あ、きゃっ・・・」 「どう?どんな気持ち?」 「あ・・・なんだか、すごい・・・ぞくぞくってします。なにか、こう・・・変」 「変じゃない。それをね、感じてるっていうんだ」 「感じ・・・」 「ここ、自分で触ってごらん」 手をつかんで下へ下げ、ローターで弄った場所へ導く。 「や・・・こんなの、どうして」 「熱くて濡れてるだろ?キミが感じてるってことなんだよ」 「・・・・感じてる?」 「そう。もっと触って。どこが感じる?いいところを探してごらん」 みぬきはぎゅっと目を閉じ、懸命に自分で指を動かした。 「はあっ、あっ」 みぬきの手首を握って引き離すと、響也はそこにローターを押し当てた。 「ああんっ」 小さな腰がぴょんと跳ねる。 少しずつ動かしながら、時々強く押し付ける。 顔を真っ赤にしたみぬきの、はあはあと荒い息遣いが聞こえる。 いくらか知識はあったのだろうが、想像を超えた実体験なのだろう。 響也の片手が未成熟な細い足をなで上げ、くびれの少ないウエストからみぬきが自分で触っていた胸へと上がる。 手の中に収まってまだ余るほどの小さな盛り上がりを揺らす。 つんと上を向いた乳首をはじく。 「自分で触るのと、ぼくが触るのとどっちがいい?」 みぬきの手が何か掴むものを探すように宙で泳いだ。 「あ、はっ、が、牙琉さん、に、あっ」 響也はみぬきの中にローターを半分ほど押し込んだ。 「はああっ!」 そのままみぬきの上半身を起こし、後ろから抱きかかえる。 耳の後ろに口付け、舌を這わせながら両手でみぬきの乳房をはげしく揉みしだく。 強い愛撫に、みぬきは響也の腕の中で体をよじった。 「あ、変、変です、やっぱり、みぬき変っ」 両膝をつけて、挟み込まれたローターを落とさないように、響也の胸に背中を押し付ける。 触れられる体中からしびれるような感覚に襲われて、自分でもどうしていいかわからないようだった。 響也は背中から回した手を下ろして、細かい振動に震える割れ目に差し入れた。 指で押し開き、まだ誰も触れたことのない芯を探った。 探し当てたそこはすでにぷっくりとふくれていた。 「きゃあっ」 暴れそうになるみぬきを強く抱きすくめる。 「おとなしくして。すごく良くなるよ」 周囲からぐるりと回すように指を動かすと、みぬきが強く脚を閉じようとした。 体をずらしてそのまま仰向けに寝かせ、上から組み伏せる。 脚を大きく開かせると、ローターが落ちた。 機械的な振動と指で十分に刺激された秘所は、てらてらと光っている。 未開拓のそこは濁りのない桃色で、響也は我知らずこくりと喉を鳴らした。 指先を差し入れると、それでもきつい。 響也はそこに顔をうずめると、立ち上がった熱い芯にそっと舌を当てた。 「は、ああああん」 指を、押し開くようにして奥に進める。 少しずつ動かしながら、舌で芯を押しつぶす。 みぬきの腰が痙攣するようにビクビクと打ち震えた。 響也は顔を離すと、みぬきの手に先ほど口に押し込んだ自分を握らせた。 「こ、これ・・・」 「これが、入るんだよ」 「なんか、さっきより大きくないですか?みぬき、壊れちゃう・・・」 「壊れないように、そっとしてあげる。心配しなくても、入るように出来てるんだからね」 響也が言い、みぬきが顔を高潮させたまま恥ずかしそうに笑った。 「はい。みぬきを、オトナにしてください」 かわいいことを、言う。 響也がコンドームを装着するのを珍しそうに眺めているのを、簡単に転がして脚を開せる。 響也は先端をみぬきの膣口に当てた。 くちゅくちゅとかき混ぜる。 みぬきが緊張で体を硬くした。 「だいじょうぶだから、力を抜いて」 「は、はい」 狙いを定めて、少しだけ押し込む。 「あ・・・」 そのきつさに、響也は片手を添えた。 ぐい、と進む。 「い、いた・・・・」 一息ついて、響也はみぬきの髪を撫でた。 「無理しなくていいよ。やめようか」 「や、やめないでください。ちゃんと、最後まで・・・」 「わかった」 ゆっくり、ゆっくり進む。 「うう・・・」 ぎゅっと目を閉じて、みぬきが耐える。 「入ったよ」 「・・・え」 「全部入った」 「牙琉さんの、全部・・・?」 「そうだよ。どんな気分?」 みぬきは目尻に涙をにじませたまま、両手を伸ばして響也の首にからめた。 「いっぱい、って感じがします。あったかい」 「動いても、いい?」 「え・・・、どうして」 響也がわずかに息を詰まらせる。 きつきつに締め上げてくるみぬきが、響也を高まらせるのだ。 「最後まで、いくから」 半分引き抜いて、突き上げる。 みぬきが唇を噛む。 もう一度繰り返す。 今度は、抜け落ちそうなほど引いて、一気に突き入れた。 「いいい、痛いっ」 奥まで挿入した状態で、動きを止める。 「やっぱり、やめる?」 「い、いやです。続けてください」 今度はもっとゆっくり動いた。 時間をかけて抜き差しすると、中からあふれてきた。 動きがなめらかになり、響也は速度を上げた。 「は、あっ、が、牙琉さん」 「痛いかい・・・?」 「い、痛いです。少し痛いけど、でも、やめないで」 「無理しなくていいんだよ。初めてはみんな痛いんだ」 「いいんです、やめないで。痛いけど・・・でも、ちょっとまた変なんです」 みぬきの脚が響也にからみつく。 腰が打ち付けられるたびに、みぬきは息を乱した。 「あっ、変、変です、みぬき、変になっちゃうっ」 「感じる、だよ。感じてるんだ。言ってごらん」 「か、感じます。みぬき、感じる」 みぬきの両脚を抱えるようにして、響也は場所を探るように中をかきまわした。 「ああんっ、今の、今のとこ、感じるっ」 「気持ちいい?感じると気持ちいいよね」 「はい、すごく気持ちいいっ・・・、あんっ」 「ずっと気持ちいいとね、イクんだよ」 「え・・・」 再び響也がみぬきを突き上げる。 みぬきが言葉にならない声を上げた。 響也が呼吸を荒くして動きを速めていく。 「ぼくも、気持ち、いいよ・・・。イキそうだ」 「み、みぬきも、みぬきもすごいっ・・・これって、これってイクんですか・・・」 「いいよ、先にイクんだ。ほら・・・っ」 「あ、あ、あ!あああんっ!!」 みぬきが体をのけぞらせて、シーツをつかんだ。 絞り上げられるような収縮に、響也も薄いゴムの中に熱を放出した。 コンドームの後始末まで終えて、みぬきはいわれるままに響也をふき取り、響也にふき取られてくすぐったさに笑った。 「今はくすぐったいです。さっきはくすぐったくなかったのに」 脚を閉じて、みぬきが首をかしげる。 「それでいいんだよ。おめでとう、キミはオトナになったんだ」 ぱっと頬を染めて、みぬきがブランケットをかぶった。 「はい。ありがとうございます」 困ったな。 ほんとうに、かわいい。 みぬきの顔に手を伸ばして、唇を寄せた。 みぬきが、クスクスと笑った。 「牙琉さん」 「なんだい」 「みぬき、まだ15なんですけど。・・・これって、ハンザイですか?」 「!」 響也の体が硬直した。 「なん、だって?」 「パパに言ったら、怒るだろうなぁ。牙琉さん、殺されちゃうかも」 声も出ないほど驚いている響也に、みぬきはぎゅっと抱きついた。 「もし、牙琉さんが他の女の人にこんなことしたら、みぬき、言っちゃうかも」 思わず抱きしめ返しながら、響也はみぬきの耳元で言った。 「この、小悪魔!」 違和感の正体を、見た気がした。 みぬきがカフェオレを飲みながら宿題を片付けて、ステージのために飛び出していくと、マスターは残された臨時家庭教師の前に新しいコーヒーを置いた。 「訴えられないようにするんだぜ。検事にとっては、かなり恥ずかしい罪状だからな」 カウンターに片手を置いて、牙琉響也は冷や汗をかいた。 なぜだ。 なぜこのマスターにはわかるんだ。 「クッ。この店にいるだけで、見えてくるものもあるんだぜ、ロック坊や」 背後に殴りつける壁のないのが、もどかしかった。 #5へ続く
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8 トントン… 戸を叩く音が聞こえる。 どうせ新聞の勧誘か何かだろう。 糸鋸は居留守を決め込んで掛け布団にくるまった。 (イトノコギリは、留守ですよぉ…) 大きなあくびをひとつして、心の中で返事する。 ドンドンドン! 今度はずいぶんと乱暴な叩き方だ。 (しつこいッスね…) だが、起き上がって怒鳴り返してやるほど、眠気から立ち直っているわけではない。 放っておくことにする。 ふたたびまどろみの中に意識が埋もれようとしたその時。 「こらっ。開けなさい、ヒゲ! 居るのは分かってるのよ!!今あくびしたでしょう!?」 という忘れもしない女の声に、糸鋸は布団の中から飛び上がった。 (え…ま、まさかこの声!なんでここに!?) 反射的に布団からは起き上がったものの、糸鋸は混乱のあまり動けなかった。 (そんなはずはないッス!…彼女はたしか、日本を離れて………) 半年前アメリカに帰ったはずだ。 狩魔 冥。 弱冠18歳でありながら、去年成歩堂に敗れるまでは無敗を誇った天才検事である。 二度に渡る成歩堂との戦いの後、 検事という仕事を見つめ直すために一時帰国(冥はアメリカ育ちである)したはずだった。 やはり同じ狩魔ファミリーと言うべきか、このあたりの事情は御剣とよく似ている。 糸鋸がまごまごしているうちに、ふいに静かになった。 (か、帰ったんスかね?) それならその方が、糸鋸にとっては助かった。 なにしろ彼女と来たら、糸鋸が何かヘマをするたびに比喩ではなく本物の鞭を振るうので、 一緒に仕事をしている間は体からミミズ腫れが消えなかった。 「叩かれたくなければ、自分のミスを減らしなさい」 それはもっともな冥の言葉だったが、 糸鋸もまたヘマをしないようにすればするほどドツボにはまるタイプである。 おかげで冥がアメリカが帰ってからも、数週間はみっともなくて銭湯に行けない体にされたのだった。 何十回、いや何百回鞭を振るわれたか分からない。 一度、気絶するまで引っぱたかれたこともあったのだが、 自分の一生の内であれほど生命の危険を感じたことは無かった。 糸鋸が「帰ってくれた方が」などと思うのも、もっともな話である。 (いや、諦めたふりをして外で見張ってるかもしれないッス!) そう思い始めると、今度はこの静寂が恐怖以外の何者でも無くなってくる。 (か、確認した方が…。い、いいや、それじゃ向こうの思うつぼッス!) ドアを開け顔を出した瞬間、鞭が襲ってくるに違いない。 自分自身の妄想に、糸鋸は震えが止まらなかった。 (ここは、黙ってやりすごすッス!) ただの居留守が、たちまち命がけのものになってしまった。 糸鋸はしばらく頭から布団をかぶっていたが、体はちっとも休まらなかった。 むしろ緊張で動悸は激しく、体がこわばってくる。 どのくらい時間がたっただろう?2分…3分……。実際は数秒しか経ってないかもしれない。 たったそれだけの間に、彼は何時間もこうしているような錯覚さえ覚えていた。 …トン、トン。 その末に、ドアが優しくノックされた。絶妙のタイミングである。 糸鋸にはもう我慢の限界だった。 「あ・あ・ああぁっ…か、狩魔検事!た、ただいま開けるッス!今すぐ開けるッス!」 布団から跳ね起きると、惨めなほど慌てふためきながら糸鋸はドアに駆け寄って鍵を開けた。 「遅いっ!」 バシンッ! 「ぎゃん!」 案の定、ドアを開けるが早いが鞭の一閃が糸鋸の鼻っ面を襲う。 気のせいか去年よりもいくぶん鋭い一撃だった。 痛みのあまり、糸鋸は部屋の中でもんどり打った。 「私が『開けろ』と言ったらグズグズしないで5秒以内に開けなさい。 …まったく、相変わらずね。糸鋸刑事!」 「す、すまないッス!」 涙目で鼻先を押さえながら、冥のムチャな注文に反論することもできず糸鋸は謝った。 相変わらずなのは、冥も同じようだった。 「お邪魔するわよ」 冥は部屋へ押し入ってくる。 へたなことを言ってまた痛い目をみるのはこりごりだったので、 糸鋸は黙って彼女の無遠慮な訪問を受け入れるしかなかった。 「意外と…片付いてるじゃない」 LDKの小さな部屋だが、春美がいるだけあってキチンと整頓されている。 冥は部屋の中をひととおり眺めた後、 糸鋸が先ほど横になっていた布団とは別の、たたまれた布団一組を見て「ふぅん…」と言った。 「久しぶりね。やはりココに来て正解だったわ…御剣怜侍はどこ?」 「?」 「隠すと為にならないわよ」 冥はゆっくりと鞭を構えた。 「ちょ、ちょっと待つッス!御剣検事は一ヶ月前から行方不明で…」 糸鋸には何の事だか分からなかったが、冥からは殺気すら漂っている。 本能がそれを察知して、足がガクガク言い出した。 「それを聞いて、わざわざアメリカから来たのよ! 以前行方を眩ましていた時も、アナタにだけは連絡をいれてたらしいじゃない。 そこの布団には誰が寝てたの?」 冥は当然知る由もないが、春美である。 どうも,、彼女は御剣がここに居ると誤解しているらしかった。 …天才検事の狩魔冥も、この時ばかりは冷静でなかったのかもしれない。 御剣がどこかに消えたとして、ここで暮らす理由など無いではないか。 だいたい、独身とはいえ男の部屋にいきなりやって来ておきながら、 余分にある布団が彼のオンナのものだとは夢にも思わないとは失礼な話である。 まあ、実際に違うと言えばそれまでだが。 「あ、あれは娘の布団ッス」 慌てて口をついて出た言葉に、冥はこめかみをピクリとさせた。 「…いい度胸じゃない」 ビシッ! 「あふぅ!」 この狭い部屋の中で、よく自在に鞭を振るえるものだ…。 痛みの余りうずくまって悶えながら、糸鋸は冥の鞭さばきの恐ろしさに舌を巻いた。 「嘘じゃないッス…娘と言っても、義理の…最近引き取った子なんス。 み、御剣検事は本当にここには居ないし、行方だって今回は自分も知らんッス…うぅ」 必死に弁明しながら、糸鋸はだんだん自分が情けなくなってきた。 なんだって自分はいつもこんな扱いばかり受けるのだろう…。 「そうだったの…?悪かったわね」 「えっ」 冥の謝罪の言葉に、糸鋸は我が耳を疑った。 常識で考えれば誤解で(誤解でなくとも)人様に鞭を振るうなど言語道断である。 謝っても決して赦されることではないが、なにせ相手は「あの」狩魔冥なのだ。 自分に謝る事など、少なくとも去年までの彼女には有りえない。 むしろ糸鋸は驚いてしまって、 「い、いや…狩魔検事が御剣検事を心配する気持ちも分かるッスから」 と、余計な事を言った。 スパンッ! 「はごぉっ!?」 駄目押しの一撃が糸鋸の肩口を叩く。 「だ、誰が!誰を心配してるって? まったく、バカのバカバカしい想像ね!私はただ復讐の相手を逃がしたくないだけよ!」 「わ、分かったッス!分かったッス!」 (やれやれ…) 糸鋸は、やはり何も変わってないのだと思い直すことにした。 「とんだ無駄足だったわ…邪魔したわね」 冥は「もう用はない」とばかりに踵を返して戸口に出ようとする。 案の定散々だったが、彼女が帰ると聞いて糸鋸は内心ホッと胸を撫で下ろした。 「あ、そうそう」 冥はそんな糸鋸の心を見透かしたかのようにクルリと振り向いて、 「明日からは行方不明の御剣検事に代わって、この私が配属されることになったから… よろしくね、イトノコギリ刑事」 という、糸鋸にとってあまりにも衝撃的な宣告を残して去って行く。 …言葉とともに優雅なお辞儀をしながらも、 その表情は明らかに「覚悟なさい」とでも言いたげだった。 糸鋸は、彼女の竜巻のような訪問から解放された後もしばらく呆然と立ち尽くすしかなかった。